シーメンスPLMソフトウェア(シーメンスPLM)は6月13日、3D CAD Solid Edgeの最新版「Solid Edge ST9」の記者説明会を開催した。
DropBoxやOne Driveでデータ共有が可能に
Solid Edge ST9では、DropBox、One Drive、Google Drive、Boxなどの一般的なクラウドストレージサービスを活用してデータを共有することが可能。あるユーザーが行った変更は他の場所でも反映されるほか、編集中は自動でファイルにロックがかかる。一方、参照ファイルはローカルに置かれるため、インターネット環境がなくても利用可能で、インターネット回線のスピードに左右されずに作業を進めることができる。
また、クラウドのメリットして、どこでも同じ個人設定を使用できるため、場所を選ばすに普段通りの設計環境を再現することができる点などが挙げられている。
複数ファイルのタブ表示が可能に - 4K対応も
かねてからMicrosoft Officeに似たユーザーインターフェースを採用しているSolid Edgeだが、新バージョンでも従来の方針を踏襲。ファイルのタブ表示を実現し、複数ドキュメントのハンドリング性を向上させた。また、4Kディスプレイにも対応した。
5月26日に発表したタブレット・スマートフォン用2D設計アプリ「Catchbook」との連携機能も有し、CatchbookのスケッチをSolid Edgeで3D化することが可能となる。
モデリング機能では、アセンブリ中での複数面の同時置換や、おねじ属性を持つ軸からブーリアンでねじ属性付穴を作成する機能などを新たに搭載。さらに、ソリッドボディを2D・3Dのカーブに沿ってスイープすることで形状の追加・削除が可能となった。同機能はフランジ加工のような機械加工を再現するのに便利だという。
このほか、3Dプリンティング向けとして、Microsoftの3D Builderを使ってプリントの準備およびオンラインでのプリント注文が可能となったほか、テキストやロゴのスケッチブロックをドラッグアンドドロップで挿入することができる。
2D図面関連では、断面・省略ビューの機能強化や対象寸法の表現を改善したほか、マルチコアCPU対応によりビュー更新を高速化した。
また、シミュレーション機能の改善も図られており、境界条件を抑制し、条件替えによる結果比較を簡単に行うことが可能となったほか、2次元メッシュ作成時に極力4辺形要素を使うオプションを追加した。さらに、メッシュ作成パフォーマンスは平均で4倍向上したとのこと。
セットアップ無しでファイル検索が可能
Solid Edge ST9は、セットアップやデータベースなしでファイルの検索機能を利用することができる。サプライヤ、リビジョン、材料などさまざまなファイルプロパティで検索することできるほか、使用先検索により影響範囲の確認も可能。さらに、ファイル名の二重作成防止、ドキュメント番号生成、関連データの自動パッケージ化などの機能が搭載された。
また、同社のPLM製品であるTeamcenterのアクティブ・ワークスペースをSolid Edgeを組み込むことで、Teamcenterユーザーにおける製品・製造データへのシームレスなアクセスを実現した。
このほか、SOLIDWORKSデータとのインテグレーションも進み、関連図面のリンクを維持したまま取り込むことが可能となる。シーメンスPLMによれば、同社の独自手法「シンクロナス・テクノロジー」により、SOLIDWORKSよりも高速にSOLIDWORKSデータを編集することが可能だという。今後は、CreoやInventorなど他のCADについても移行ツールも提供する予定だ。
Solid Edge ST9は従来の永久ライセンスのほか、月額または年額制のサブスクリプションでも提供する。永久ライセンスの販売価格は公表されていないが、サブスクリプションの価格(税別)は1.5~6万円/月、年額制は13.5~54万円/年となっている。なお、日本での提供開始は7月末を予定している。