シスコシステムズは6月9日、米Cisco Systems CEO チャック・ロビンス(Chuck Robbins)氏の来日にあわせ、事業戦略説明会を開催した。

米Cisco Systems CEO チャック・ロビンス

ロビンズ氏は冒頭、「われわれは、今、テクノロジーの変革期におり、今までなかったような技術の変遷が起きようとしている。これまでのインターネット時代、ソーシャル時代を経て、これからはIoTの時代になる。製造現場、家電、車などあらゆるものがつながり、そこから生まれる大きなチャンスが育っていくことを感じている。われわれはこれが何もたらすかをしっかり把握し、それに戦略を合わせていかなければならない」と語り、今後をすべてのものがつながるIoTの時代になるとし、それに合わせて戦略を変える必要性を訴えた。

また、「これまで、テクノロジーは戦略を実行する手段であったが、今後は自分達がやっていることの違いを際立たせるための手段となり、ミッションを支援する手段となる。Uberが成功したのはテクノロジーがあったからだ。今後、都市間の競争が起こり、都市、国、企業のあり方も変わってくる。そして、テクノロジーを使いこなすかどうかで勝者が決まる」と、テクノロジーが差別化を図る手段だと指摘した。

続けて、「われわれはこれまでつなぐこと、すなわち接続性を提供し、融合を起こしてきた。次の接続の真の価値は、すべてをつなげることで生まれる知見だ。今後は前人未踏の接続が生まれ、想像できないほどのデータが生まれる。データの一元化も意味がなくなり、エッジ側にもデータが存在し、そこで意志決定も行われる。そのため、セキュリティが非常に必要だ」と語り、IoT時代のセキュリティの重要性を強調した。

その上で、シスコが目指す姿として「デジタルトランスフォーメーションメーションのNO.1パートナー」を挙げ、「テクノロジーを使って、能力、キャパシティ、スキルを開発し、今後何十年も継続可能な仕事を生み出していく。そのためには戦略的なパートナーシップが重要だ。なぜなら、さまざまなものに接続し、融合していくためには、ざまざまな企業の知識を結集する必要があるだからだ。今後はパートナーとともに開発し、新しい未来を切り開いていく」と述べた。

米Cisco Systemsエグゼクティブ バイス プレジデント 兼 最高財務責任者のケリー A. クライマー氏

また、記者に対するQ&Aセッションの中で、今後はハードウェアからソフトウェアにシフトするのかという質問が出され、これに対して米Cisco Systems エグゼクティブ バイス プレジデント 兼 最高財務責任者のケリー A. クライマー氏は、「ソフトウェアやサブスクリプションモデルを拡大しているのは、お客様の要望があるからだ。今、急成長している部分はソフトウェアの会社であり、この分野の成長を加速していくつもりだ。ただ、これをハードウェアからの脱却だと思わないでほしい。これからもパフォーマンスの高いハードウェアが必要で、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせでやっていく」と回答した。