富士通とBoxは6月8日、都内で記者会見を開き、コンテンツマネジメント分野における戦略的なパートナーシップに関するMOUの締結を発表した。
富士通は国内外の富士通グループ従業員役16万人を対象に進めているグローバルに統一されたコミュニケーション基盤にBoxのコンテンツ・マネジメント・プラットフォームを採用し、2016年度下期(2016年10月~2017年3月)から運用を開始する。これにより、セキュアでシンプルな情報共有と一元管理を可能にすることで、社内でのコラボレーションを一層加速させるとともに保管データの増加に伴うストレージ増設費用を抑制することが可能になる。
また、富士通はBoxを「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc(メタアーク、以下MetaArc)」のサービスの一部として2017年から提供。これによりBoxのコンテンツを富士通が展開する日本国内のデータセンターに保存することが可能となり、データ保管を望む顧客のニーズへの対応ができるという。
さらに、富士通はBoxの社内適用から得られる知見や顧客のワークスタイル変革を支援してきた経験を基に、グローバルなコミュニケーション基盤とBoxを組み合わせた新たなソリューションを2016年度下期より提供する。
冒頭、米Box 共同創業者兼CEOのアーロン・レヴィ氏は近年の4つの重要なトレンドとして「1つ目は2020年までに20億のモバイルデバイスが業務で使われることが想定されており、結果としてエンタープライズに対するソフトウェアのデリバリー手法も変わる。2つ目はあらゆるビジネスプロセスがコラボレーション型となっており、どのような企業でも同僚、パートナーなど社内外の人々と物事を共有・協業し、これらはシームレスで行われなければならない。3つ目はUberやNetflixなどを例としてデジタルがあらゆる業界で変革を起こしている。そして、4つ目はサイバーセキュリティだ」と述べた。
そのうえで「これらにより、企業は迅速に業務を遂行し、競争力を高めることができる状態となっているが、従来型のテクノロジーが足かせになっている可能性がある。例えば、ファイルをさまざまな人々と共有したい場合、従来型のテクノロジーではストレージ、文書管理、メール送信など単純にファイルを共有したいだけなのに複数の複雑なテクノロジーを介すため、結果としてデータがあらゆる場所に分散してしまう状況が生まれている。Boxを創業したのは、このような問題を解決したいと考えたからだ。われわれのアプローチはセキュアなプラットフォーム上で情報をクラウドに格納し、顧客が使用するさまざまなアプリケーションからアクセスできるようにしていることだ」と胸を張った。
富士通 執行役員常務 グローバルマーケティング部門長の阪井洋之氏はBox採用の狙いについて「ファイルストレージの80%が重複ファイルで占められており、Boxを使用することでクラウド上に一元的にコンテンツを格納するため添付ファイルの必要がなくなるため、従ってファイルストレージ容量を80%削減できる。従来はファイルを添付していたが、これからはメール内にURLを記載し、そこからクラウド上にリンクする。2つ目はセキュリティ、情報漏えい対策を強化としてだ。クラウド上のコンテンツに格納するためPC紛失時のデータ損失リスク低減やコンテンツ一元管理による部外者利用の適正な管理が可能となる。生産性向上とコラボレーションの強化であり、文書の共同編集で10~20%の生産性向上を見込んでいる」と強調した。
阪井氏は「新規顧客にBoxのサービスをアドオンして提供し、3年間で100万IDを目指す。また、われわれが強みを持つ医療や金融・保険、CRMなどの分野とBoxを連携した共同ソリューションを展開していく」とBoxとの将来的な協業に期待を寄せた。
両社は、今回の日本市場での協業をベースに共同でビジネスの拡大を図り、将来的には協業の範囲をグローバル市場へと拡大することを目指す。特に、今後の高い市場成長が期待されるアジア地域への展開については、同地域のお客様の要求に対応していくため、営業・マーケティング活動への共同投資も視野に入れた協業拡大を検討していく方針だ。