理化学研究所(理研)は6月8日、同研究所が国際純正・応用化学連合(IUPAC)へ3月18日に提出していた113番元素の元素名案および元素記号案について、IUPACによるパブリックレビューが開始されたことを発表した。
理研は、元素名案として「nihonium(ニホニウム)」、元素記号案として「Nh」を提案していたが、今回、IUPAC内部での審査過程を通過し、パブリックレビュー(一般の批評)を受けるため、IUPACのWebサイトに公開された。5カ月間のパブリックレビューの後に、IUPACによって正式決定される。
原子番号113の元素は、理研 仁科加速器研究センター 超重元素研究グループの森田浩介グループディレクター(九州大学大学院理学研究院教授)を中心とする研究グループが、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」の重イオン線形加速器「RILAC」を用いて2004年7月に初めて合成に成功したもので、その後、2005年4月、2012年8月にも合成に成功。2015年12月31日に、同研究グループによる113番元素の発見がIUPACにより認定され、命名権が与えられた。
森田グループディレクターは、「長い元素発見の歴史の中で、欧米以外の国で元素を発見したグループはありませんでした。今回の新元素の認定と命名は日本発、アジア初のことであります。私たちは応援してくださった日本の皆さんのことを思い、新元素を「ニホニウム」と命名いたしました」とコメントしている。
なお今回、113番元素のほか、115番、117番、118番元素の元素名案および元素記号案についてもIUPACによるパブリックレビューが開始となっており、それぞれモスコヴィウム(Mc:Moscovium)、テネシン(Ts:Tennessine)、オガネソン(Og:Oganesson)と命名されている。