旅行口コミサイト「TripAdvisor」(トリップアドバイザー)は6月3日、トリップアドバイザー内の日本のページに対する海外からのアクセス状況などをベースに、訪日意欲が高いと思われる国や世界の旅行者から注目を集める都道府県を示す「インバウンドトレンド調査」を発表した。

海外のトリップアドバイザーユーザーの日本ページへのアクセス状況を基に、前年と比較したセッション数の増加率を算出し、訪日旅行関心度が高い国と地域を10位までランキング化した結果、中国人旅行者の関心度の高さが顕著となった。

日本政府観光局(JNTO)が2016年1月に発表したデータによると、2015年は過去最高となる1973万人の訪日外国人旅行者が日本を訪れているが、うち499万人は中国からの旅行者で中国人旅行者は訪日外国人旅行者全体の4分の1を占めている。トリップアドバイザーのデータを見ると、2015年3月から2016年2月にかけて日本のページを閲覧していた中国人ユーザーのセッション数は前年比130%増加した。

このデータは日本に関心を持ち、訪日旅行を検討・計画している中国人の数が多いことを示しており、2016年も中国が日本に観光ブームをもたらすことが予想されている。そのほか、日本への関心度が高かったアジアの国・地域はシンガポール、インドネシア、台湾となり、カナダやスペイン、イタリア、イギリスといった長距離旅行者も訪日旅行の関心が高まっているという。

セッション数から見る、日本への関心度が高まった国・地域トップ10

また、海外のトリップアドバイザーのユーザーのアクセス状況を分析し、外国人旅行者の関心が前年から最も高まった都道府県は石川県だった。海外からの石川県へのセッション数は、前年に比べ59%増加。次いで茨城県、富山県、鳥取県、佐賀県、岐阜県なども関心が高まっているとしている。

セッション数から見る外国人からの関心が高まった都道府県トップ10

さらに、トリップアドバイザー上で旅行に関わる情報は「泊まる」(宿泊施設)、「観る・遊ぶ」(観光施設・観光地・ツアー)、「食べる」(飲食施設)の3カテゴリに分けて掲載しており、海外の旅行者からの関心度が高まった上位10県について各カテゴリの口コミ評価点の平均を比較した。

結果は「宿泊施設」「観光施設」「飲食施設」のうち「観光施設」についての口コミ評価点が全10県において最も高いことが分かった。その中で最も「観光施設」の評価点が高かったのは宮崎県で、平均評価点は5点満点中4.14点となった。「飲食施設」が最も高く評価されていたのは石川県で平均評価点は3.92点、そして「宿泊施設」で最も高い評価を受けたのは同3.97点の兵庫県だったという。

県別の「宿泊施設」「観光施設」「飲食施設」に対する外国人旅行者の口コミ評価の平均点

加えて、海外からのユーザーの過去1年間の検索ボリュームをベースに旅行者がどのようなタイプの観光施設を検索しているかを分析した結果、日本の豊かで美しい自然や伝統的な文化、特徴的な名所などについて検索する外国人が多いことが分かった。

下記のグラフは、各県においてどのようなタイプの観光施設・観光地を海外のユーザーが検索しているかを示している。全体的には「自然・アウトドア」「名所・史跡」「文化」が楽しめる場所を検索する人が多いことが分かり、「ショッピング」について検索している人は総じて少ない状況だったという。

観光施設のタイプ別検索ボリューム

一方、岐阜県、石川県の情報を見ている外国人旅行者は文化的な観光施設に関心を持っており、茨城県と宮崎県の情報を見ている人は自然・アウトドアへの関心が高くなっている。そのほか、富山県の情報を見ている人は名所・史跡、大分県の情報を見ている人は温泉にそれぞれ関心を持っていた。

トリップアドバイザーアジア太平洋地区パートナーシップ ディレクターのアーロン・ハン氏は「トリップアドバイザーのインバウンドトレンド調査は、中国人旅行者が今後インバウンド観光の柱になることを再認識するとともに、各県が外国人旅行者にアピールするポイントを発見させてくれます。石川県、茨城県、富山県などへの関心の高まりは、海外の旅行者がもっと日本について知りたいと意欲を持っていることを示しています。外国人旅行者の誘致を強化していきたい県は、自らの県が持つポテンシャルを再認識し、是非トリップアドバイザーを更に活用していただきたいと思います」と述べている。