日立製作所(日立)は6月2日、賛否が分かれる議題に対し、大量の日本語記事を分析して賛成・反対双方の立場から根拠や理由を伴った意見を日本語で提示する人工知能の基礎技術を開発したと発表した。
今回、記事の中から議題に対する意見の根拠や理由に該当する文を識別するプロセスにディープラーニングを用いることにより、これまで言語ごとに作成する必要があった文を識別するための専用プログラムが不要となり、さまざまな言語の文書データを対象とした汎用システムを構築することが可能となった。
これまで同社は、大量の英語記事を分析して、英語で意見を提示する人工知能の基礎技術を開発してきたが、今回開発した技術を用いることにより、国内企業でニーズの高い日本語への対応が可能となる。
具体的には、数千の記事に対して、根拠や理由を表す文を抽出して学習させることで、人工知能システムは記事から法則やパターンを自ら導き出し、根拠文・理由文を識別。また、ニュース記事や調査報告書などの文章中のどの語句に注目すべきかを推定しながら学習する。注目箇所推定機能をディープラーニングに追加したことで、議題や価値概念に関連する語句など注目すべき箇所を的確にとらえることが可能。この手法を用いることにより、言語に依存せずに議題に対して関連性の高い根拠文・理由文の識別ができるという。
今回開発した技術は、意見を提示する人工知能システムを多言語で活用していくための基礎技術となり、同社は今後、さらなる研究開発を推進し、グローバルに企業の経営判断を支援する人工知能システムの実現を目指す。