大日本印刷(DNP)は6月3日、3D構造のNAND型フラッシュメモリーの回路パターンを形成する際に使用が見込まれるナノインプリントリソグラフィ(NIL)用テンプレートの生産設備に対し40億円の追加設備投資を実施すると発表した。

メモリーセルを垂直に配置する3D構造のNAND型フラッシュメモリーはデータ量を飛躍的に増やすことができ、スマートフォンやデータセンター向けに需要増加が見込まれている。

NILは基材上の樹脂などに金型を圧着して、nmからμm単位のパターンを転写する微細加工技術。テンプレートから直接回路パターンを転写して複製するため、高価な光学系の設備を使用せず、比較的安価な露光装置での製造が可能。また、製造工程を簡略化できるため、従来の手法に比べて製造コストを約3分の1に抑えられるとされる。

同社は、2003年よりNILのプロセスで使用するテンプレートの開発を行っており、これまで70億円を投じて回路線幅20nmのテンプレート量産体制を確立。また、次世代半導体にむけて10nm台のNIL用の原版となるマスタテンプレートと、マスタテンプレートから複製するレプリカテンプレートの開発にも成功している。

今回、40億円の追加投資を実施し、高解像度高速EB描画(マルチビーム描画装置)やドライエッチングなど関連プロセス装置の増強を図り、NILテンプレートの需要増に対応可能な量産体制を整備する。同社は、今後半導体のさらなる微細化とコスト削減に対応する開発・生産体制を強化することで、NILテンプレートで2019年に約100億円の売上を目指すとしている。