倒壊建物のがれきの中に取り残された人の小さな声も聞き分けることができるロボットを東北大学などの研究グループが開発し、1日公開した。今後同大学のキャンパス(仙台市)内に新設された実験場で実証実験を続けて実用化を目指す。生存者を見つけるめどが「72時間以内」と言われる中で早期の救助に役立つと期待される。
公開されたのは、長さ約10メートルのホースの形状をした「へび型ロボット」。先端に取り付けたカメラ(能動スコープカメラ)でがれきの様子を確認しながら操縦し、数センチのわずかな隙間をぬって進ませることができる。東北大学の田所諭(たどころ さとし)教授(ロボット情報学)らは、最新の音声抽出・強調技術を駆使して捜索現場の騒音の中でも助けを求める人の声を聞き分けることができる特殊な超小型マイクを開発、このマイクをへび型ロボットに複数装着した。
地震や豪雨などの自然災害で倒壊した建物での捜索は、救助に携わる人たちの懸命の捜索でも災害現場の騒音の中で生存者の救助を求める声がかき消されてしまうことが大きな課題だった。研究グループは熊本地震の現地調査に基づいて倒壊家屋の模擬がれきを新設実験場に作製。1日の公開実証試験では、実際に小さな声をキャッチしたという。
田所教授は「実用化を進めて人命救助の飛躍的向上を図りたい」とコメントしている。研究は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環として進められ、早稲田大学、京都大学、東京大学、筑波大学なども参加した。
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