楽天 上級執行役員 河野奈保氏

楽天は5月27日、担当役員がメディアの自由な質問に答える情報共有会を本社で開催した。同日、質問に答えたのは、編成部、PR推進部、CS推進部担当の上級執行役員 河野奈保氏だ。

SPUで顧客は戻ってきている

同社 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、今年1月に開催された「楽天新春カンファレンス 2016」において、2016年は品質にこだわる姿勢を示したが、情報共有会で河野氏は新ためてその方針を説明。

「楽天市場だけでなく、すべての事業でQuality Firstを掲げ、安心・安全が楽天の強みになるように取り組んでいる」と語り、具体的には、サーチやナビゲーションなどのUI&UXの改善や顧客や店舗の声を聞いて改善に移す作業などを行っているという。

Quality First施策

また、2016年は「楽しくお得な買い物」も注力分野に掲げ、今年1月からSuper Point Upプログラム(SPU)をスタートしている。SPUについて河野氏は、「楽天が他のECサイトと違う点は、サービスを複数使っているユーザーが多く、6割以上がクロスユーザーだという点だ。それが楽天の強みになっており、そのもとになっているのがIDとス-パーポイントだ。SPUは結果が徐々に出始めており、新規ユーザーが増え、休眠ユーザーも戻って来ている。SPUを止める考えはまったくなく、さらに加速していく。他社からユーザーが流れて来ていることも日々実感している。また、楽天ユーザーと楽天カードの相性もよく、楽天カードの使用率も順調に伸びている。今後は、楽天の他のサービスから楽天市場への送客も積極的に行っていきたい」と述べた。

SPUで楽天カードの利用率が上昇しているという

積極的にポイントキャンペーンを展開しているYahoo!ショッピングを競合としてどう思うかという問いには、「Yahoo!ショッピングさんは、キャンペーンをたくさんやられているが、SPUは楽天市場と楽天カード、楽天市場とアプリというように相性がいいものに絞って顧客育成施策としてやっている。SPUはキャンペーンではなくプログラムだ。今後も継続してやっていく。他社にユーザーが流れているのではという心配の声も聞くが、SPUをやり始めてユーザーは戻って来ている」と回答した。

4月にAmazonは2,000円未満の商品の送料を有料化(一般会員の場合)することを発表したが、河野氏は楽天の送料について、「送料に関しては、楽天が販売している商品の7割以上は無料で、他社に比べ無料率は高い。いままではあえて言わなかった部分もあるので、今後は積極的に周知していきたい」と語った。

また、最短20分で配送する「楽びん!」やゴルフ場でのドローンを使った配送「そら楽」など、サービスを拡充している配送サービスについては、「楽びん!の拡大については大都市を中心に戦略的に考えている。他社と比べてどうかという意見もあるが、我々のスピードで拡大していきたい。また、コンビニでピックアップするという方法も促進していく。そのほか、ユーザーはスピードよりも、自分の指定時間に配送されるほうが満足度が高いので、ここもいろいろな方法でやっていく」と述べた。

2年が経過したキュレーションサービス「ROOM」

情報共有会では、2014年6月にサービスが開始されたキュレーションサービス「ROOM」(ルーム)の現状説明も行われた。「ROOM」は楽天市場で販売されている商品の中のお気に入りの商品を、ユーザー専用ページ「myROOM」上に収集・紹介するサービスで、自分のお気に入り商品コレクションのようなものだ。

「ROOM」はSNSのように、自分以外の「ROOM」ユーザーをフォローできる機能を備えていおり、フォローしているユーザーが更新すると、自動的に自分のページに追加商品の情報が表示される。SNS同様、コメントのやり取りも可能だ。

三木谷社長のROOM

また、自分が紹介した商品を他人が購入すると、売り上げ金額の5%に相当する楽天スーパーポイントが付与されるという、アフィリエイトと同様な仕組みも導入されている。

楽天 ROOMグループ 編成企画グループ マネージャー 山下純一氏

「ROOM」開始から間もなく2年が経過するが、会員は順調に増加しており、約7割が女性だという。ROOMグループ 編成企画グループ マネージャー 山下純一氏によれば、これはほぼ想定どおりの結果だという。年齢層は、楽天会員よりも若い20~30代が中心で、8割はモバイルでの利用だという

そして、山下氏は「他のキュレーションメデイアは、有名人がやっている場合もあるが、『ROOM』は楽天会員が行っている点が大きな違いだ。ただ、今後は認知度を上げていく必要があり、もっと見つけやすくするためにUI&UXを作り込んでいかなければならない」とROOMの課題を挙げた。

ROOMのユーザー数の推移のユーザー比