ソフトバンクは6月1日、100%子会社であるSB CHINA HOLDINGS PTE(SB China)が保有するAlibaba Group Holding(アリババ)の普通株式の一部を資金化する資金調達取引を実施することを発表した。なお、今回の取引による調達資金は有利子負債の返済に充当するほか、一般事業目的に活用していく予定だという。

今回の取引は20億米ドル相当のアリババ普通株式をアリババに売却するほか、米国証券法4(a)(7)条の届出書提出義務免除に基づく、4億米ドル相当の同社普通株式のアリババのパートナーからなるグループへの売却、5億米ドル相当の同社普通株式の大手政府系ファンドへの売却を予定。

また、新設したMandatory Exchangeable Trust(Trust)による総額50億米ドルの他社株強制転換証券(Mandatory Exchangeable Trust Securities、以下 Trust Securities)の発行の3つで構成されており、アリババ株を合計で79億ドル資金化する。

Trust Securitiesは、アリババの米国預託株式(アリババADS)に強制転換される証券であり、米国証券法のRule 144Aに基づく適格機関購入者(QIB)に対して販売される。発行条件は市場環境および、そのほかの条件に基づき最終的に決定。Trustは、引受会社であるTrust Securitiesの当初買付人に対し、上記に加え、総額10億米ドルのTrust Securitiesを追加で取得する権利(グリーンシューオプション)を付与することを予定している。

ソフトバンクでは2000年にアリババに対し初めて投資を行って以来、事業提携や合弁会社の設立、共同投資などを通じ、同社と関係を築いている。ソフトバンクはアリババの発行済株式総数の32.2%(間接所有含む。2016年3月末現在)を保有し、同社は当社の持分法適用関連会社。今回の目的は、ソフトバンクの財務体質の強化にあり、取引後もアリババとの提携関係を継続していくという。

今回の取引を通じて、アリババ普通株式の一部について資金化を行うことにより、ソフトバンクの手元流動性が増加するとともに、連結純有利子負債/調整後EBITDA倍率(Sprint Corporationを除く)は2016年3月末時点の3.8倍から3.3倍程度に改善することが期待されるとしている。