キヤノンマーケティングジャパンとキヤノンITSメディカルは5月31日、介護予防事業所向けに運動機能測定システム「ロコモヘルパー」を6月1日から提供し、介護予防事業所向けソリューション事業に参入すると発表した。価格は、ソフトウエアのほか、「Kinect」およびパソコンを含み60万円~、保守費用が年間3万円(いずれも税別)。

「ロコモヘルパー」

「ロコモヘルパー」の主な製品構成

介護予防とは、「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」(厚生労働省の資料より)。厚生労働省では、「ロコモティブシンドローム(運動器症候群、以下、ロコモ)の啓発活動に注力しており、介護予防事業所では、ロコモの基準となる開眼片足立ち、椅子立ち座り、最大一歩、通常歩行・最大歩行、TUG(Timed Up & Go Test)などの運動を、介護スタッフがストップウォッチやメジャーで定期的に測定し、高齢者や家族に運動指導している。「ロコモヘルパー」は、この運動測定の介護スタッフの作業を軽減するもの。

ロコモティブシンドローム

「ロコモヘルパー」は、マイクロソフトの赤外線深度センサーカメラ「Kinect」が認識した利用者の骨格情報から、ロコモの判断基準となる代表的な運動種目ごとに骨格の動きをデジタライズして、運動種目ごとの「片足立ちの時間・高さ」「歩行速度」「椅子立ち座り回数」などを自動測定・評価・記録する。また、前回の測定結果と対比したレポートを自動で作成する。また、レポートはExcelで保存でき、介護スタッフの個別フリーコメント入力できる。「ロコモヘルパー」はこれらの機能により、介護スタッフの作業負荷を軽減する。

「ロコモヘルパー」自動測定項目

赤外線センサーによる運動測定

さらに、運動測定の記録に加え、測定状況を録画する機能を標準で搭載しているため、測定数値と測定動画を対で保管、本人や家族が改善を体感できる。

評価レポート

両社は、介護事業などを展開するソラストと社会福祉法人聖隷福祉事業団の聖隷藤沢ウェルフェアタウンの協力のもと、「ロコモヘルパー」の実証実験を行い、評価が高かったことから今回発売する。

また、ソラストは、キヤノンシステムアンドサポートを通じて全国の通所介護サービス46事業所に“ロコモヘルパー”を導入し、6月以降順次運用を開始する。

キヤノンMJグループでは、重点領域として医療ソリューションを掲げており、デジタルヘルス基盤をビジネス化し、その後その情報を他の領域に活用かしていくという。

両社は介護予防通所介護、介護予防通所リハビリテーション88,000施設のうち、今後3年間で1000施設への導入を目指す。

「ロコモヘルパー」のターゲット