独立系半導体研究機関のベルギーimecは、ベルギー、オランダ、ドイツの薄膜太陽電池研究開発機関・大学の研究推進アライアンス「SOLLIANCE」の主要メンバーとして、半透明のペロブスカイト太陽電池モジュールを5月25日(欧州時間)に発表した。

同モジュールの電力変換効率は12%ほどだが、シリコン系の太陽電池と組み合わせて積層することにより、20.2%の電力変換効率が得られたという。

透過率70%の半透明型ペロブスカイト太陽電池モジュール

このスタンドアローンのペロブスカイト型太陽電池モジュールは、塗布法や印刷法などの単純な製造技術を用いて製造することができることが特徴。ペロブスカイトは、フレキシブル(プラスチックフィルムまたは金属箔)と同様に硬質(ガラスや金属製)キャリア上に形成でき、その光学的および電気的特性は、材料成分の組成を調整することにより、色と透明度を調整して変化させることができるとのことで、今回開発された半透明のペロブスカイトモジュールは4cm2サイズで12%の効率を、16cm2でも10%の効率を達成したとしている。

imecの薄膜PV技術マネージャーTom Aernouts氏

またimecでは、シリコン太陽電池モジュールの上にペロブスカイト太陽電池モジュールを積層することにより、単接合シリコン太陽電池の効率を上回る30%を超す効率を実現できる可能性があるとしている。透明性の高いペロブスカイト型太陽電池モジュールを裏面コンタクトのシリコン太陽電池上に積層した場合のペロブスカイトトップモジュールの透過率は70%で、シリコン太陽電池に向けて透過することで高い電力変換効率を実現でき、4cm2で20.2%、16cm2でも17.2%を実現したとするほか、ミリサイズのモジュールを積層した場合、22%超を実現したとする。

なお、imecの薄膜PV技術マネージャーであるTom Aernouts氏は、「この技術は、大型化できる可能性を秘めているので、引き続き大型化に向けた研究を行っていくと同時に、ペロブスカイト太陽電池技術の最適化を行っていく」とコメントしているほか、将来的な目標として、半透明太陽電池パネルをビルのすべての窓に敷き詰めることで、ゼロエネルギービルを実現することを掲げている。