海上保安庁(海保)は5月24日、南海トラフ巨大地震の想定震源域におけるプレートのひずみ状態を明らかにしたと発表した。
同成果は、5月23日付けの英国科学誌「Nature」オンライン版に掲載された。
同庁では、2000年度より海溝型地震の震源域であるプレート境界の陸側の海底に観測点を設置し、GPS測位と音響測距を用いた海底地殻変動観測を実施している。今回の研究では、南海トラフの海底に設置された15カ所の観測点で2006年度~2015年度にかけて取得された海底の地殻変動の実測データを用いて分析が行われた。
この結果、1940年代に発生したM8クラスの地震の震源域西側の沖合と、想定東海地震の震源域の南西側に、ひずみの強い領域が延びていることが確認された。また、以前から予測されていた、沈み込む海山や、通常の地震よりもゆっくりと破壊が進む"ゆっくり地震"の活動域と、ひずみの弱い領域とが合致することが確認されたという。