半導体市場調査会社である米VLSIresearchは5月19日(米国時間)、同18日に発表した2016年度半導体製造装置サプライヤ顧客満足度高得点企業トップ10の続報として19日(同)、ウェハプロセス装置、アセンブリ装置、テスト装置、装置付帯設備の各分野ごとのベストサプライヤリストおよびこれらの企業が高得点を得たカテゴリ(高満足度の理由)を公表した。

前工程装置顧客満足度トップはPlasma-Therm

表1の左上は半導体製造工場のウェハプロセス(前工程)装置分野の顧客満足度トップ10である。一部の企業においては先般発表された全体トップ10の得点と一致しないが、これは全体トップ10は前工程・後工程の区別なしに全製品を対象とした総合得点であるのに対して、こちらは、それぞれの分野の製品に特化した得点だからである。特定分野の装置専業メーカーでは両者は一致するが、総合メーカーの場合は、両者は一致しない。例えば、東京エレクトロン(TEL)は、ウェハプロセス装置に限れば8.78点だが、総合得点では8.51点と低い。

これは、総合半導体装置メーカーである東京エレクトロンのウェハプロセス装置以外の装置(テスト装置・アセンブリ装置)は得点が低く、ランク外となっているためである。

今年度の半導体製造工場のウェハプロセス(前工程)装置に関する顧客満足度トップ企業は前年度4位の米Plasma-Thermだった。2位は前年度1位の米Axcelis technologies、3位はオランダASML(前年度2位)であり、顧客満足度で、ライバルのニコンやキヤノン(いずれもランク外)を圧倒している。日立国際電気や東京エレクトロンの顧客満足度の高さも光る。また昨年度ではランク外だった日立ハイテクノロジーズが今年度では9位にランクインしていることも特徴といえる。

後工程装置顧客満足度トップはADT

アセンブリ装置分野の顧客満足度トップは前年度同様に、イスラエルに本拠を置くAdvanced Dicing Technologies(ADT)だった。3位の香港ASM Pacific Technologyは、テスト装置でも4位に入っている。この分野の顔触れは前年度と変わっていない。

テスト装置分野のトップは、前年度同様に米Teradyneで、3位までは前年度と同じ。前年度4位だったTELはランク外となり、替わりに東京精密が5位に入った。

サブシステム顧客満足度トップはFormFactor

装置付帯のサブシステム分野のトップは、プローブカードサプライヤの米国FormFactor、2位のSV TCLは東京に本拠を置くFormFactorのライバル。3位は真空バルブサプライヤのスイスVAT、4位はテスト装置にも登場しているXcerra(テスタ向けプローブカードなどのサブシステム)、5位は米Advanced Energy(取扱品目は電源システム, ガス・液体流量制御システムなど)。

表1 2016年度半導体製造装置サプライヤ顧客満足度調査におけるウェハプロセス(前工程)装置、アセンブリ(後工程)装置、テスト装置、装置付帯サブシステムごとのベストサプライヤ覧 (出所:VLSIresearch Webサイト)

ベスト・サプライヤが高得点を得た理由はなにか?

顧客満足度調査で高得点を得た半導体製造装置およびサブシステム・サプライヤ22社それぞれが、もっとも高得点を得たカテゴリを表2に示す。東京精密は、「他の人に推薦したい企業」「使用した際の性能が良い」の2点で高得点を得た。日立国際電気は「他の人の推薦したい企業」「協力を得られやすい企業である」、アドバンテストは「他の人の推薦したい企業」「連続稼働時間が長い」、日立ハイテクは「サプライヤとしての信頼性が高い」「(納期などの)約束をきちんと守る」、TELは「技術面でのリーダーシップがある」「総合的な価値が高い」の各分野で高得点を得た。ちなみに前工程装置で1位のPlasma-Thermと2位のAxcelisの高得点カテゴリは日立ハイテクと同じで「サプライヤとしての信頼性が高い」「約束をきちんと守る」であった。3位のASMLの高得点カテゴリは、「他の人に推薦したい」「技術面でリーダーシップがある」となっている。

なお「技術面でのリーダーシップ」で高得点を得た企業はTEL、Applied Materials、ASML、EVG、FormFactorの5社であった。

表2 2016年度半導体製造装置サプライヤ顧客満足度調査におけるベストサプライヤの高得点を得たカテゴリ一覧 (出所:VLSIresearch Webサイト)