日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は5月19日、最大4GHzのRF入力信号をサポートした最大3GSpsサンプリングレートのパイプライン型14ビットA/Dコンバータ(ADC)「ADC32RF45」を発表した。
同製品は、0.5~1.5GHzのLバンドや2~4GHzのSバンド全体で、第1、第2、第3ナイキストゾーンのRF信号の変換が可能で、最大4段の中間周波数ダウンコンバージョン・ステージを省略できるため、フィルタの簡素化や基板実装面積の低減、部品点数の削減などを図ることが可能。
また、スペクトラルノイズ密度-155dBFS/Hzを実現しているほか、入力周波数1.8GHzで58.5dBのSN比を提供するとする。さらに、1チャネルあたり1.5GHzの瞬時帯域幅を提供しているため、2.5GHzを超す周波数で、同相や直交位相成分の広帯域レシーバの実装が可能であるほか、ESD204Bのインタフェースをサポートしており、FPGAに対して、効率のよい通信を実現することができる。
Texas Instruments(TI)の高速カタログ・コンバータ製品部 プロダクト・ライン・マネージャを務めるV.C.Kumar氏は、「TIはADC、D/Aコンバータ(DAC)でリーダーシップを発揮してきたが、今回の製品はそのポジションをさらに強化するものである」とコメントしているほか、今回のような製品が求められる背景として、現状のテクノロジーが提供できるよりも多くのデータが発生するようになっており、その処理を速やかに実現するための進化が必要であることを説明している。
ノイズレベルが低いため微弱信号を検出することが可能であるほか、デジタルダウンコンバータもチップに内包しており、インタフェースのレートを下げることができ、信号内に強い干渉があっても信号を検出することが可能なため、科学や防衛、テスト・計測、通信などの分野ですでに先行している複数の顧客で活用が進められているという。
なお、すでにサンプル出荷を開始、2016年第3四半期より量産開始を予定。単価は100個受注時で2495ドルからとしているほか、評価モジュール「ADC32RF45EVM」も2499ドルで用意。今後は、数週間以内にさらに4種類のユースケースに応じたリファレンスデザインをアナウンスする予定だとしている。