富士通は5月19日、米インテルとのIoT分野での協業に基づき、島根富士通の製造工程を見える化する実証実験を実施したと発表した。
実証実験では、富士通のIoTデータ活用基盤「FUJITSU Cloud Service IoT Platform(以下、IoT Platform)」と「インテル IoTゲートウェイ」を連携させて実現した。
島根富士通では、製造ライン上の機能試験において不具合が検知された製品は、リペア工程に送り、不具合の診断・解析・修理を行った上で出荷するが、不具合が再現できない場合もあるという。その際は、不具合が検知された機能試験工程に関わった作業者の作業内容や使用した器具、試験対象製品の状況を総合的に分析し、不具合が検知された原因を解明する必要があった。
また、リペア工程では、修理対象製品のリペアライン上での位置や滞留状況、個々の製品の出荷期限情報のリアルタイムな見える化がなさていなかったため、優先的に作業を行うべき製品の切り分けができず、予定していた出荷期限を超過してしまい、輸送トラックの追加手配費用が発生してしまうことがあったという。
そこで、実証実験では、富士通研究所の画像からの文字認識率を高める画像処理技術や、それを活用したアプリケーション開発を短期化するフレームワークを利用し、作業者の作業状況の映像を撮影するとともに、修理対象製品の画面に表示されるエラーコードを撮影し、「インテル IoTゲートウェイ」に集約、画像解析処理することで見える化を実現した。
リペア工程での見える化においては、修理対象製品をリペアラインに投入する際、それぞれにビーコンセンサーを貼り付け、工程内での各製品の位置や滞留時間、出荷期限を作業者が瞬時に把握できるようにした。その結果、出荷期限の近い製品の優先的な修理や、滞留が生じている工程への補助といった作業が自律的に行えるようになったという。
結果、製造ライン上の機能試験工程、およびリペア工程の適正化を実現し、出荷遅延による追加輸送コストを抑制することで、輸送コストを30%削減したという。
富士通とインテルは今後、島根富士通で得たノウハウに基づくIoTソリューションを確立し、製造業向けに展開していくという。