MM総研は5月16日、「クラウド会計ソフトの利用状況調査(2016年3月末)」を発表した。それによると、個人事業主の2016年3月末時点での会計ソフトの利用率は31.8%であり、うちインターネット経由で利用するクラウド会計ソフトの利用率は9.2%だった。
調査は3月29日~31日にかけて、2015年(平成27年)分の確定申告を行なった個人事業主2万113事業者を対象に、Webアンケートにより実施したもの。
個人事業主において、「会計ソフトを利用している」との回答は31.8%(6404事業者)で、会計ソフト利用者に利用している会計ソフトを確認したところ、PCにインストールして利用する従来型の会計ソフト(会計データのみをクラウド上で保管するものを含む)が84.0%を占めた。
一方、クラウド会計ソフトを利用している個人事業主は9.2%であり、2015年12月の調査と比べて1.1ポイント上昇した。
会計ソフトを利用していないとの回答者(全体の55.5%)に対して、会計ソフトの代わりに利用しているものを尋ねたところ「市販の帳簿やノートなどへの手書き」が41.2%と最多であり、以下「Excelなどの表計算ソフトに入力」が39.3%、「税理士や会計事務所への外部委託」が11.9%と続く。
クラウド会計ソフトの認知度では「知っている」との回答は全体の61.3%に達し、2015年12月の調査より3.9ポイント上昇。着実にクラウド会計ソフトの浸透は進んでいるものの、依然として会計ソフト利用者の1割程度のため、市場の開拓余地はあるのではないかと同社は想定している。
クラウド会計ソフトの利用者における事業者別シェアでは「弥生」が53.1%で最も多く、以下「freee」(22.9%)、「マネーフォワード」(16.1%)、「全国商工会連合会」(3.9%)と続く。2015年12月の調査と比べると、弥生は2.6ポイント増、freeeは2.0ポイント減であり、マネーフォワードは6.3ポイント増と最も大きな伸びだった。
クラウド会計ソフトを認知してるが現在は利用していない個人事業主(1万974事業者)に今後の利用意向を確認したところ、「今後利用したい」が6.4%、「どちらかといえば今後利用したい」が29.1%であり、これらを合わせたクラウド会計ソフトの利用予備軍は35.5%となった。
利用予備軍を事業継続年数で分析すると、2年未満が50.0%で最も多く、2年以上5年未満が39.3%、5年以上20年未満が34.0%、20年以上が33.4%と事業継続年数が若いほど利用意向が高い傾向となった。
利用意向と合わせて利用するきっかけについても確認したところ、会社の売り上げが拡大するタイミングとの声が最も多く、起業や独立に加え、事業の拡大を目指す比較的事業継続年数の若い個人事業主を中心に、今後もクラウド会計ソフトの導入が進んでいくという。