IDC Japanは5月12日、国内データセンターの投資動向について同社の予測を発表した。
今年に入ってからすでに、NTTコミュニケーションズや富士通、NECなどが新たなデータセンターを設立するなど、各社からの発表が相次いでいる。IDC Japanの調査によると、2015年末時点では国内事業者データセンターのサイト数は593カ所、延床面積は193万7,140平方メートルとなっている。延床面積は2020年には212万682平方メートルに増加すると予測している一方で、サイト数は減少していくと同社はみている。
その背景にあるのが、2000年以前に建設されているデータセンターの存在がある。同社の調査では、1999年までに竣工した国内データセンターは、全体の約4割に上るという。同社のITサービス リサーチマネージャーである伊藤未明氏は、「築15~20年で電気設備や空調設備などの入れ替えが必要となる。データセンター市場の競争が激しくなっている中、古いセンターの設備に投資するか、クローズするか、各社で議論が行われているはずだ」と国内データセンターの現状について述べた。
そのほかにも、災害対策強化などによる情報システムの可用性改善を目的とした、社内のサーバルームで運用してきた企業の事業者データセンターへの移行ニーズや、クラウドサービス事業の拡大などによる、大量の電力供給および空調能力、大容量ネットワークインフラ、大容量IT機器を支えるための床構造などを備えたデータセンター設備に対するニーズなどからも、データセンターのサイト数は減少する一方、規模は大きくなり、集約化して運用効率を上げていく傾向が強くなると予測している。
また、2016年の国内事業者データセンターの新設および増設に対する投資額は、1,562億円(前年比81.9%増)が見込まれている。伊藤氏によると、建設投資は通常、拡大と縮小のサイクルを繰り返すというが、直近では2016年をピークに、2020年までは低迷すると予測している。この理由について伊藤氏は、「2020年の東京オリンピックまでは建設費が高止まりすると言われていることから、それまでは投資を延期するケースが出てくるだろう」とコメントした。