IDC Japanは5月11日、国内企業のITインフラにおけるOpenStackの導入状況に関する調査結果を発表した。同調査は、サーバ仮想化を実施している企業・組織459社の有効回答をまとめたもので、2015年7月に実施した調査との比較が行われている。
「すでに本番環境で使っている」の回答の割合は7.0%となり、前回調査の4.5%から3.5ポイント上昇し、「試験的に使用し、検証している」は8.3%と、前回と比較してほぼ変化が見られなかった。
今回は「使用する計画/検討がある」の割合が前回の5.2%から大きく上昇して17.9%になり、導入に向けて具体的な動きが出てきていることが明らかになった。「OpenStackを知らない」の割合は前回調査よりも8.5ポイント下がっており、認知度も上昇していることが判明した。
OpenStackの導入状況について、ICT関連サービスを主力事業としている企業と、それ以外の非ICT企業に分けて分析した結果、ICT企業では「すでに本番環境で使っている」の回答割合が8.2%、「試験的に使用し、検証している」が10.8%、「使用する計画/検討がある」が20.5%となり、合計で約40%のICT企業がOpenStackの導入に向けて取り組んでいることが判明した。
非ICT企業でも本番環境で使用、検証中、計画/検討の回答を合計すると約30%の企業が、OpenStackの導入に向けて取り組んでいることがわかった。
さらに、OpenStackを本番環境で使用、検証中、計画/検討している企業に、OpenStackに期待する効果を質問したところ、「クラウド基盤の運用の効率化」が25.7%で最も回答が多かった。これに、「クラウド環境の構築の迅速化」(21.7%)、「アプリケーション開発の迅速化」(21.1%)と続く。
「自社エンジニアのスキルアップ」が19.7%となっているが、ICT企業だけで見ると22.1%と最も多い回答となっており、IDCは「OpenStackを通じてエンジニアのスキルが向上することへの期待が表れている」と見ている。
OpenStackを使用していく上での課題については、「OpenStackに精通しているエンジニアが少ない」が28.3%と最も回答が多く、「セキュリティの脆弱性に不安がある」が25.7%で続いた。
3番目に多い回答として「半年ごとのメジャーリリースに合わせた対応ができない」が19.7%となり、半年ごとのメジャーリリースはOpenStackの大きな特徴の1つだが、課題と表裏一体となっていることが判明した。
また「ネットワーク環境の構築/管理が難しい」という回答も19.7%を占めており、OpenStackのネットワークはNeutronコンポーネントに対する課題が残されている結果となった。