2016年5月11日から13日にかけて、東京ビッグサイトにて開催されている「第5回 IoT/M2M展(IoT/M2M 2016)」において、東京エレクトロン デバイス(TED)は先日発表したばかりの企業がIoTを活用したサービス開発を検討する際に必要となる、デバイス開発、アプリケーション開発、データ解析、分析までをワンストップで提供するサービス「TED Real IoT」の紹介などを行っている。

同サービスのデモとしては、サービスの1つであるプロトタイプ開発サービス「Min Lab」として、マルチセンサタグを用いた振り子を揺らして、何秒後に止まるかを予測するという、異常検知や障害予測、寿命予測といったものをイメージしたもの。ジャイロセンサの生データを無線で飛ばしてPC側で周波数解析を行い、予測モデルをもとに何秒後に止まるかを予測するというものとなっている。

左上がマルチセンサタグ。これを揺らすと、ジャイロセンサのデータがPCに無線で送られ、周波数解析を行い、そこからいつ、振り子が止まるか、という寿命予測を予測モデルを元に導き出すデモとなっている

また、このほかのデモとしては、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究プロジェクトの成果である「音カメラ」のデモやDust Networksを活用した倉庫内の温湿度監視ソリューション、新鮮な今摘み野菜を食べることが可能な植物環境保持システム「Water Farmer」など、センサやネットワーク、そしてデータ解析など、IoTに必要なさまざまな技術を組み合わせたものが多く展示されていた。

それぞれのデモを簡単に説明すると、音カメラは橋梁などの社会インフラの点検向け技術で、コンクリートの打音を5つのマイクで集音し、カメラで表面の状況を撮影。それを同期処理し、音の周波数、大きさ、どこから発しているのか、といったものを見える化し、空洞などがある場所を特定するといったものとなっている。また、Dust Networksの倉庫内温湿度監視ソリューションは、すでに自社の倉庫にて30台のセンサユニットを接続する形で実験的に活用しているとのことで、電池寿命が3年程度と長いこと、設置にかかる時間やコストがかからないこと、最大100台まで接続することが可能、といった特徴がある。そしてWater Farmerは一般的な植物工場に近いが、植物を育てるのではなく生育する環境を保持するシステムで、別のところで生育した植物を食べごろの一週間程度まえになったら同システム内に搬入し、店舗などで成長していく様子を見て楽しむことも意識したものとなっている。2016年度中のIoT化を予定しており、生育状況のモニタリングや遠隔操作の実現などを予定しているという。

音カメラのデモの様子。同技術は熊谷組が有している技術を移動ロボット研究所、応用技術試験所、名古屋大学、東京エレクトロン デバイスが協力して、NEDOの委託業務として橋梁点検ロボットに活用することを目指して生み出されたもの。デジタルカメラで撮影した画像上に音の発生方向、大きさ、周波数(高さ)を表示する。デモでは周波数の応じて色が変化しており、赤い部分(コンクリートの中央付近)には人為的に空洞が作られている。右の画像はマイクとカメラのデータを同期転送するための装置で、主に同社はこの部分の開発を担当したとのこと

Dust Networksを活用した倉庫内温湿度監視システムのハードウェア部分。左がアットマークテクノのIoTゲートウェイ「Armadillo-IoT G3」、右の白いのがDust Networks対応センサネットワーク端末。バッテリ駆動でだいたい3年程度持つという

植物工場に見えるが、生育環境を保持する装置という言い方が正しい「Water Farmer」。栽培可能な品種は現状15種類とのこと

なお同社では商社という特性から有している幅広い技術資産を活用していく形でカスタマのIoTビジネスの加速を手助けしていきたいとしており、ハードやソフトといった垣根なく、カスタマが求める最良のソリューションの実現を図っていきたいとしている。