TISは5月10日、電子マネー決済などのクラウドサービス向けサーバ製品の開発・販売などを手がけるQUADRACと、資本・業務提携契約を締結したことを発表した。
今回の資本・業務提携契約により、TISはQUADRACの第三者割当増資を引き受け、QUADRACはTISの持分法適用会社となる。両社では、TISのリテール決済業界で培ったシステム開発力やノウハウと、QUADRACの電子マネー決済市場における知名度と技術力を組み合わせ、電子マネー決済を含むICカードの次世代型システムソリューションを展開していく。
両社は、今回の資本・業務提携により、各種カード情報(残高情報やセキュリティ情報など)を、サーバ側で管理でき、かつICカード自体への追加設定なしで簡単に機能追加できる「Q-CORE」を活用した電子マネー決済システムの開発支援や、交通、小売、金融、自治体など、事業者のサービスを1枚のICカードで利用できる仕組みの構築を図るソリューションの提供を目指す。
また、Q-COREの性能を活かした低コストで一元管理が容易な電子マネーシステムを提供。ICカード側で情報管理を行う方式では、ICカードに機能を追加する場合、カード自体への機能設定が必要になり、それに合わせてカード発行の単価が上がっていた。しかし、Q-CORE側の設定で機能追加が可能なため、カード発行の単価に追加費用が発生しない。
これにより、電子マネービジネスが拡大し、カード発行枚数が増えた際のランニングコストが、従来方式と比較して低コストに抑えることができるほか、サーバ側の設定のみで一枚のICカードに、ポイントプログラムやクーポンといった複数の機能を組み込むこともできるため、電子マネーの付加価値向上も可能。
さらに、サーバ管理型にすることで、リアル店舗とEC店舗での消費者の利用情報を一元管理できるなど、管理面でも優れた電子マネーシステムの構築が実現できるという。両社では、同システムを電子マネー発行事業者・ポイントプログラムサービス提供事業者などに提案していく方針だ。
今後、両社は電子マネー事業やICカードを活用した仕組みを展開している交通、小売、金融、自治体などの事業者に向けて共同開発したソリューションを展開し、2020年までに40億円規模のビジネスとすることを目指す。
加えて、政府のインバウンド戦略を見据えたソリューションの企画・開発も行ない、今後増加が見込まれる訪日外国人向けのマーケットを見据えた決済ソリューションも創出し、グローバル決済マーケットも視野に入れ、インドネシア、タイといったTISがビジネス展開している東南アジア市場に向けてもICカードソリューションを展開していく予定だという。