ICT総研は4月26日、国内におけるクラウドストレージサービスの市場動向に関する調査結果を発表した。これによると、クラウドストレージサービスの利用者は2016年度で3907万人、市場規模は616億円を見込んでいる。
個人ユーザーが保有する写真・動画・音楽・文書などのデジタルデータの容量は年々増え続けており、データを消失させないために、さまざまな保存方法が模索されている。ここ数年でクラウド型オンラインストレージサービスが多くの事業者から無料で提供されるようになり、クラウド上に電子データを保管するユーザーも増えている。
ICT総研の調査・推計では、2013年度(2014年3月末)に2364万人だった日本国内の個人向けクラウドストレージサービス利用者は、2016年度に3907万人となり、2018年度には4705万人へと増える見込みだという。
そのうち、有料サービスの利用者数は2016年度で1065万人に達し、2018年度に1310万人に増加。有料サービスの利用者が増加することで、個人向けクラウドストレージサービスの市場規模は2016年度で616億円、2018年度には747億円に拡大が想定されている。
同社では、個人向けクラウドストレージサービスの利用実態を把握するため、2016年4月21~22日にインターネットユーザー2151人にWebアンケート調査を実施した結果、「現在有料サービスを利用している」と回答した利用者は10.6%に留まった。
また「現在無料サービスを利用している」利用者は25.8%であり、有料サービス利用者の倍以上存在することが判明し、多くのサービス事業者は自社のサービスを優先的に導入してもらうため、1~10GB程度までの利用を無料とするサービスを行っており、ユーザーはこれらの無料サービスを導入している。
有料サービスと無料サービスの利用者を合わせると36.5%となるが、まだストレージサービスを利用していない非利用者は全体の63.5%を占めており、今後クラウドストレージ市場を拡大させるために、利用していない潜在ユーザーを開拓することが必要だとしている。有料サービス利用者のうち、月300~1000円までの料金を払っているユーザーが全体の49%を占め、平均的な月額利用料金は500円程度だという。
さらに、アンケート調査の結果ではクラウドストレージサービスの中で最も利用者数が多かったのは、Google DriveとiCloud Drive(アップル)で280人、次いでマイクロソフトOneDriveの利用者が275人、クラウドストレージサービスの老舗とも言えるDropboxが4位で262人となった。
米国系企業のサービスが上位を占める中で、ヤフージャパンが提供するYahoo!ボックスが189人で5位。そのほか、Evernoteが6位で124人、Amazon Cloud Driveが92人という回答結果となった。多くのユーザーは複数のサービスを併用して使い分けているが、今後はサービスの取捨選択が進み、大手事業者のシェアがさらに高まることが想定されているという。