ニフティは4月20日、IoTを活用した事業者向け見守りサポートサービス「おへやプラスPRO」の提供を開始した。
「おへやプラスPRO」は、複数宅の室内環境データ(温度・湿度・照度)のモニタリングとエアコンの遠隔操作を介護事業者などのPCから行えるサービス。センサーなどの機器一式を高齢者宅に設置することで、部屋の環境を事業所から見守り、体調不良の未然防止やスタッフの負担軽減に役立ててられるという。蓄積される室内環境データは介護プランの作成やサービスへの活用のほか、高齢者とのコミュニケーションのきっかけづくりやその家族へのレポートなど幅広い用途があるとしている。
今回の発表の背景として、2014年12月にリリースした個人向けサービス「おへやプラス」がある。同サービスは、離れて暮らす家族の部屋の温度や湿度を専用のスマートフォンアプリから確認できる室内環境見守りサービスだが、「法人向けにも展開して欲しい」という介護事業者からの要望があり、今回の法人向けサービス「おへやプラスPRO」の提供が決定したという。
製品化に向け、2016年1月から埼玉県熊谷市にて実証実験を実施。その結果、室内環境データから事前に異変を察知できたという。実証実験は8月まで継続するが、サービス化できる体制が整ったとし、同日より提供を開始する。
ニフティ ネットワークサービス事業部の澤木氏は、「今までの見守りサービスは、勘や経験、あるいはカメラなどを使って、異常が起きた後に検知する方法だった。しかし、おへやプラスPROは、室内環境データ(温度・湿度・照度)をクラウド上で収集・分析し、高齢者自身が気付きにくい体の異変や室内環境から、異常が起きそうな状態を検知して防ぐサービス」と説明。また、室内環境のデータを見守るサービスのため、カメラなどと比べて利用者のプライバシーに配慮できるという。
サービス構成機器は、室内環境の情報を取得する「iRemocon Wi-Fi」、サービスアダプター、NifMoSIMとLTE USBドングル。インターネット回線を契約していない家庭でも、回線工事不要で利用できる。
熊谷市での実証実験に関わっていたNPO法人日本福祉ネットワーク 日本福祉カレッジ熊谷の山中規光氏は、環境構築が簡単だったことが大きな利点だと話す。「機器をコンセントに差し込むだけで使用できるため、設置時間は10秒にも満たない。これならば、1日何十件も利用者宅を訪問する場合でも手早く設置できる」と述べた。また、冬の寒い時期ならではエピソードとしては「毎朝6時に起床する利用者には、朝5時頃エアコンを付け、ヒートショックを防止していた。また、外出が多い人には、帰宅時間に合わせてエアコンを付けるなど、常に快適な環境を提供できていた」と振り返った。
利用価格は、初期登録費用が1万円、月額管理費用が1万5000円。機器1セットあたり、初期費用が6万円、月額料金1800円(いずれも税別)。ニフティは、初年度50事業者の導入を目指す。
今後は、居宅サービス事業者のほか、調剤薬局や高齢者向け住宅、地域組織などにターゲットを拡大していく予定。また、直販以外の販売形態も開拓していきたいと述べた。今後、事業者からの意見を取り入れながら機能の拡充に努めていくとしている。