ハイテク市場調査企業の米Gartner(ガートナー)は4月13日(米国時間)、世界の半導体ファウンドリ市場規模が、2015年に前年比4.4%増となる488億ドルとなったと発表した。すでに同社は、先だって2015年の世界の半導体市場(IDM/ファブレス)が、前年比2.3%減とマイナス成長に陥ったことを発表していたが、ファウンドリだけはプラス成長したことになる。しかし、ファウンドリは過去3年間にわたってプラス2ケタ増という快進撃を続けてきており、プラス成長とは言っても、その成長が一休みした格好だ。
これについて、Gartnerのリサーチ担当VPのSamsuel Wang氏は「2015年、半導体の過剰在庫、PCやモバイル製品の需要減退、タブレットの販売不振などにより、半導体市場の売り上げが低下した。このため、半導体企業がファウンドリへの発注を手控えた。ファウンドリの売上高が増加したのは。Appleがファウンドリへ大量注文したのと、ごく一部のIDMが製造委託比率を高めたことによる局所的な効果による」と分析している。
2015年の最終確定版となる世界半導体ファウンドリ市場売上高ランキングトップ10を表1に示す。長年にわたり常にトップの台湾TSMCは世界のファウンドリ市場で55%と過半のシェアをほこる。同社の2015年業績は5.5%成長となったが、これは、アプリケーション・プロセッサおよびベースバンドモデムチップ向けの20nmプレーナ構造トランジスタ技術および16nm Fin FET技術の成功がけん引しているとGartnerは見ている。
2位のGLOBALFOUNDRIES(GF)は6.2%増と成長したのに対して、3位のUMCは1.3%減とマイナスだったため、2位と3位が入れ替わった。
韓国Samsung Electronicsは、前年比8.1%増の26億ドルと売り上げを伸ばし、4位を維持した。このうち、一般のファウンドリ事業の収入は7.45億ドルで、あとはAppleのアプリケーションプロセッサの製造委託だという。5位の中国SMICは、中国政府の半導体国産化の波に乗り、2桁成長を果たした。また、日本の北陸地方でパナソニックと合弁半導体ファウンドリ工場を運営するイスラエルTowerJazzは、米国テキサス州サンアントニオの旧Maxim Integratedの半導体工場を買収し、生産量を増やすことで16%増の成長を達成した。日本勢では唯一トップ10に入っているのが三重富士通セミコンダクター(富士通セミコンダクターとUMCの合弁企業で、本社は横浜、工場は旧富士通三重工場)であり、29.4%増と驚異の成長率でランクを10位から8位に上昇させた、
GartnerのWang氏は「2015年のファウンドリ各社の売上高を四半期ごとに見ると、エンド製品メーカーが秋口に新製品を発売するのにあわせて、従来は、第2四半期にファウンドリの売り上げは高まるのだが、2015年に限ってはその傾向は見られなかった。各ファウンドリは、各期ごとに売り上げ予測の修正に追われた。在庫レベルは第2四半期以降、ずっとピーク状態だった」と2015年を振り返った。