韓国Samsung Displayが米Appleと次々世代のiPhone向け中小型のAMOLED(有機EL)パネルの供給契約を結んだと韓国や中国の一部のマスコミが先週末に報じた。
Samsungに近い日刊紙である中央日報や英字新聞Korea Heraldによると、5.5インチの有機ELパネル1億台前後で、金額ベースでは約3兆ウォン(約2850億円)、契約期間は当面3年とされているが、Samsung自身はAppleとの契約について、以前から一切コメントしない方針を貫いている。韓国ディスプレイ業界関係者の話によると、ソウルの南、牙山市湯井で現在拡張工事中の同社量産工場より2017年5月から納品を開始し、Appleが同年秋ころに発売するであろうと見込まれるiPhoneの新製品から搭載を開始する計画だという。Samsungは有機ELラインの拡張へ莫大な投資をする都合上、Appleと長期契約を結んだとしている。
Samsungの中小型有機ELパネルのシェア(2015年)は90%を超え独占状態にあり、Appleも有機ELパネルはスマートフォンではライバルであるSamsungから購入せざるを得ない状況にある。
またライバルの韓国LG Displayも、現在、韓国内で有機ELパネル量産工場を建設中であり、Appleと有機ELパネル供給に関する契約交渉を進め、最終段階にある模様である。これによりAppleは2社購買が可能になる。赤字必至の液晶ビジネスに注力する日本勢(シャープ、ジャパンディスプレイ)は、有機ELへの投資を表明したばかりであり、スピード感をもって取り組まない限り、ポスト液晶でも韓国勢に大きく水をあけられそうだ。日本勢のいずれがApple納入3社目に入るか微妙な情勢だ。シャープを買収した鴻海精密工業は、iPhoneの製造を受託しているが、傘下の液晶メーカーのパネルがiPhoneに採用されぬ屈辱を、シャープとの連合でこれから取り組む有機ELでなんとか挽回しようとしている。