日立製作所は4月13日、国立病院機構の「国立病院機構 診療情報集積基盤(NCDA:National Health Organization Clinical Data Archives)」のデータ集積基盤を構築し、3月28日から稼働を開始したと発表した。

新基盤は、国立病院機構が全国で運営する病院で運用している電子カルテ・システムなどの診療情報を一元的に収集・蓄積する。これにより同機構は、膨大かつ複雑な診療情報を効率的に分析・可視化し、医療の質の向上や病院の経営効率改善に役立てることが可能になるという。

同機構は全国143カ所の病院を運営しており、電子カルテなどの形式で蓄積した診療情報を分析し、提供する医療の質の向上や病院の経営効率改善に利用するための取り組みを進めている。

しかし、電子カルテ・システムにはメーカーや病院の規模などによって多様な種類があり、データの互換性の問題などから、多数の病院に蓄積したデータの統合的な分析は困難だったほか、すべての病院に同種の電子カルテ・システムを導入するには、運用面やコスト面で課題もあったという。

そのような状況に対し、新基盤は同機構が運営する各病院で個別に作成した電子カルテのデータを診療情報の標準的な仕様であるSS-MIX2(「厚生労働省電子的診療情報交換推進事業(SS-MIX:Standardized Structured Medical Information eXchange)」で策定された医療情報を交換・共有するための標準的な規約の最新版)形式で収集するとともに、別途蓄積したDPC(診断群分類別包括評価)データやレセプト(診療報酬明細書)・データも統合してデータベース化する。

これにより、各病院で使用する電子カルテ・システムを変更せずに、膨大で複雑な医療情報を安全かつ効率的に分析・可視化可能になるという。なお、NCDAは患者の重要な個人情報を取り扱うため、セキュリティ対策を行ったうえで蓄積するとしている。

なお、新基盤は同機構が推進する「電子カルテデータ標準化等のためのIT基盤構築事業」の一環として構築した。