NICTは4月12日、プロドローンと共同で、小型無人飛行機ドローンを用いて学校図書室の本を別の学校へ配送する図書配送システムの実証実験に成功したと発表した。
同実証実験は、国家戦略特別区域(地方創生・近未来特区)である秋田県仙北市において実施。西明寺中学校から図書配送リクエストを受信した西明寺小学校では、約1kgの図書をドローンへ積み込むとともに、端末からドローン制御地上局に対して配送先の情報を送信す。図書を積載したドローンをオペレーターの操縦により、高度約50m まで上昇させた後、あらかじめ設定された直線距離で約1.2kmのコースを自動航行で飛行させ、再びオペレーターにより、西明寺中学校校庭の設定した場所へ着陸させることに成功した。
同実験の特徴は、安全性を確保した形でドローンによる配送サービスに成功したこと。
具体的には、ドローン、地上局、図書室端末、配送管理端末、データサーバで構成されるシステムの通信に、事前に配布した共通鍵による共通鍵暗号(AES方式)とワンタイムパッド暗号を適用。ドローンに実装したワンタイムパッド暗号化装置は、小型かつ軽量のものが開発された。
これにより、各機器間の通信(図書室端末と配送管理端末間、配送管理端末とドローン制御の地上局間、地上局とドローン間)がすべて暗号化を実現している。
NICTは同実験により、制御通信の乗っ取りや情報漏洩を完全に防御した環境で、ドローンによる配送サービスを実施できることを実証したとしている。
今後、図書配送システムの実用化に向けて、専門のオペレーターが担当したドローン離着陸操作の自動化を実現し、完全自動航行での運用を目指すとともに、複数拠点を結ぶネットワークの広域化にも取り組む。