トヨタ自動車は4月8日、2016年1月に米国に設立した人工知能技術の研究・開発を行うToyota Research Institute(TRI)の新拠点を米ミシガン州アナーバーに開設すると発表した。カリフォルニア州パロ・アルトおよびマサチューセッツ州ケンブリッジに次ぐ、TRI第3の拠点となる。

新拠点は6月に開設を予定しており、ミシガン大学のライアン・ユースティス(Ryan Eustice)教授がマッピング技術、エドウィン・オルソン(Edwin Olson)教授がセンサー・認識技術、それぞれの研究を指揮するため参画。両教授は、ミシガン大学教授職との兼務となる。

また、トヨタの米国の研究開発拠点であるトヨタ・テクニカル・センターの自動運転研究チームのスタッフ約15名が開設に伴い、TRIの新拠点に異動。新拠点全体の人員は、当面の計画では約50名を想定している。

さらに、アナーバーの拠点はミシガン大学から徒歩圏内に位置しており、TRIは自動運転研究で同大学と密に連携するとともに、ミシガン大学の人工知能・ロボティクス・材料科学の研究を資金面でサポートもしていく方針だ。すでにTRIはスタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)とも研究を進めており、今回の新拠点の設立により、大学・研究機関との連携が一層進むことになる。

TRIは、幅広いテーマで人工知能研究を進めていくなかで、自動運転分野においては3拠点それぞれのコア領域を設定して取り組んでいく。アナーバーでは主に完全自動運転の研究に取り組み、パロ・アルトではドライバーが主役となるなかで車が必要に応じてサポートをする技術に焦点を当てた研究を進めていく。ケンブリッジでは、シミュレーションやディープラーニングの領域を中心に取り組む。

TRIは当面、5年間で約10億ドルの予算のもと、以下の4つの目標を掲げ、人工知能研究に取り組んでいる。

  • 「事故を起こさないクルマ」をつくるという究極の目標に向け、クルマの安全性を向上させる

  • これまで以上に幅広い層の方々に運転の機会を提供できるよう、クルマをより利用しやすいものにすべく、尽力していく

  • モビリティ技術を活用した屋内用ロボットの開発に取り組む

  • 人工知能や機械学習の知見を利用し、特に材料科学分野において、科学的・原理的な研究を加速させる

そのほか、TRIはスタンフォード大やMITと合計30以上の研究プログラムに取り組んでいるほか、自動運転技術に関しても、大学や研究機関、IT企業などとの連携を積極的に模索していく方針だ。