ロケーションマーケティングサービスを提供する米xAdは3月31日、同社の日本法人「エックスアド・ジャパン合同会社」(xAdジャパン)による国内サービス展開を、本格的に開始すると発表した。

同社が提供するロケーションマーケティングサービスは、スマートフォンなどのモバイルデバイスからの位置情報をもとに、その場所に最適な広告配信を行うもの。同社は、モバイルデバイスにアプリを提供している事業者と提携し、そのアプリを通して、個人を特定しない形で位置情報を取得。そのデバイスに対して広告を配信できる。日本では現在、およそ2000万台をターゲットにできるという。

米xAd チーフマ・ケティング・オフィサー(CMO) モニカ・ホウ氏は、2019年までに米国広告市場の43%が位置情報を使用することになるという調査データをもとに、位置情報の重要性を訴え、次のように述べた。

「消費者が購買行動を起こすその瞬間を知ることで、消費者がそのときもっとも興味があることを目立たせることができる。たとえば、消費者がファーストフードやコーヒーショップの店内にいるのか、その近くをただ通りかかっているだけなのかを見極めることができれば、消費者に対するメッセージを、それに合わせたものにすることができる」(モニカ・ホウ氏)

米xAd チーフマ・ケティング・オフィサー(CMO) モニカ・ホウ氏

xAdジャパン カントリーマネージャー 安里勇吾氏も、その人が焼肉店にいることがわかれば、消臭剤の広告効果がより高まると訴える。

位置が特定できれば、より効果の高い広告ができると安里氏

ただ、モニカ・ホウ氏は現在の位置情報には、精度の面で課題があるとした。

「現在の位置情報の問題は住所をもとにしているため、その住所の中間点が示され、購買行動が実際に行われているビルの上にはないのです。そのため、そのビルにいる人をターゲットにしたい場合、精度が外れてしまいます」(モニカ・ホウ氏)

そこで、xAdでは、特許技術「Blueprint」を使ってその場所の領域の輪郭を描き、その建物の中にいるのか、外にいるのかを区別できるようにしているという。

左が住所をもとにした位置情報、右が特許技術「Blueprint」を使ったポリゴンによる位置情報

敷地や建物の輪郭を生成は70%が自動生成で、残りは、人の手によって行っているという。

モニカ・ホウ氏は「xAdは、モバイルの広告プラットフォームとして知られているが、私たち自身はロケーションマーケットプレイスだと認識している。モバイルを利用した行動はどんどん増えているが、小売行動の90%はオフラインで行われている。そのため、eコマースだけに特化していては、氷山の一角にフォーカスしていることになる。われわれのソリューションは、適切な消費者に、適切なときに、適切な場所で広告を配信することで、購買行動を起こすことを決定するその瞬間をお手伝いできる」と述べた。

同社が配信するターゲティング広告の例。地図や経路情報も配信されるのが特徴だという

同社では日本で本格展開するにあたり、すでに680万件の公共施設などの目標の建物を登録済みだという。

安里氏は、「日本全国のセブンイレブンの17,000店舗に対しても、1クリックで指示できる」と語る。

同社では、「現在その場所にいる人」、「現在、その場所の付近にいる人」、「過去、その場所に行ったことがある人」などのほか、日本独自の機能として、郵便番号や町丁目などを指定したターゲィングが行えるという。

xAdが提供するロケーションターゲティングサービス

米国では、セルフサービスとして展開されているが、国内ではパートナーを通した販売を開始。セルフサービス型は2016年8月にベータ版を提供し、2016年第4四半期にリリースする予定だ。

米国ではユーザー自身が設定を行うセルフサービスとして展開

日本では、サイバー・コミュニケーションズ(CCI)、Supershipなどのプレミアムパートナー企業との協業が大きな柱となっており、今後のプランについては、今年は代理店に対する啓蒙活動を行い、来年はパートナーの拡大、2018年から本格的に展開する予定で、まずは、米国での成功事例をもとに、ファーストフード、自動車販売、小売りをターゲットにするという。

今後3年のプラン

安里氏は「われわれはロケーションという概念をこの業界につくっていきたい。Googleは検索をリードし、FacebookはSNSをリードしている。われわれは、オフラインにおけるロケーションをリードしていきたい」と述べた。

xAdジャパン カントリーマネージャー 安里勇吾氏