法人向け社食サービスを提供しているおかんは3月28日、2016年の事業構想について発表した。

2012年に設立され、今年で4年目となる同社。設立当初は個人向け惣菜宅配サービスを事業展開していたが、現在では法人向けサービスが主軸となり、約300拠点で導入されるまでに成長した。

同社の代表取締役CEOを務める沢木恵太氏は、「前年比で約320%成長している。今後も成長の角度を緩めずに導入拠点を増やしていきたい」と意気込みを語った。

この1年で急激な成長をみせているおかん

「オフィスおかん」を支えるパートナーの存在

おかん 代表取締役CEO 沢木恵太氏

おかんでは、オフィス向けの置き食品サービスである「オフィスおかん」を提供している。同サービスは、契約企業のオフィス内に設置した冷蔵庫・専用ボックスに惣菜やご飯などの食品を定期的に提供するサービスとなっている。

月に2~4回程度、契約企業に商品を補充していく同社の流通サービスを支えているのが、製造パートナーの存在である。工場を持っていない同社の惣菜を製造しているのが、岩手・静岡・新潟・福井・福岡の全国5カ所の惣菜メーカーだ。

「全国各地に惣菜をつくるメーカーはたくさんあるが、地方だと人口が減少傾向にあり、マーケットがシュリンクしている。そのため、地方のメーカーは、工場のリソースがどんどん下がっているという課題がある。そこで、余っているリソースで私たちの商品をつくってもらい、オフィスという新しいマーケットで販売している」(沢木氏)

直近では、奈良のメーカーを候補に、製造パートナーの拡大を検討しているという。

「オフィスおかん」を拡充

2016年、同社が掲げる事業構想の1つとして、「オフィスおかん」の拡充が挙げられた。

これまで同社は、東京23区に限定して販売を行ってきたが、4月1日からは京葉地域の浦安・市川地区へも拡大していくという。同地区への導入の理由を、沢木氏は次のように説明した。

「これまでサービス導入いただいている企業の特徴の1つに、『立地が悪くて近くに食事をする場所がない』という理由がある。特に湾岸エリアはその傾向が強く、顧客が増えている状況にある。その中でも、浦安・市川地区はさまざまな物流系の企業が拠点として構えており、引き合いが多いため、まずはこのエリアから拡大していくことに決めた」(沢木氏)

同地区以外にも、横浜や多摩での展開、ゆくゆくは大阪や名古屋など12大都市圏への展開も視野に入れて検討しているという。今期(11月が期末)の目標は、600拠点へのサービス導入となっている。

2020年には1万拠点への導入が目標となっている

"食"以外の新しいサービスの開発

「オフィスおかん」の拡充とともに、"食"以外の新しいサービスの開発についても、構想が語られた。それは、「ヘルスケア分野の強化」と「BtoE(Business to Employee)プラットフォームの構築」である。

「ワーク・フード・バランス改善プロジェクト」のロゴ

「ヘルスケア分野の強化」について具体的には、「ワーク・フード・バランス改善プロジェクト」の実施が挙げられた。同プロジェクトは、食事は心身のコンディションに大きな影響を及ぼす要素であるということを、従業員を雇用する側である企業に対して、啓発していく取り組みとなっている。これは、同社単独での取り組みではなく、社会人・企業・団体など周辺関係者が一体となった活動として広げて行きたいというのが同社の狙いである。

同プロジェクトは現在準備中で、詳細は5月に発表される予定となっている。

また同プロジェクト以外に、丸の内地区において、健康増進に関する実証実験の実施も予定されているという。こちらも同社単独ではなく、他社と協業しながら、「どのような取り組みを行えば健康が増進されるのか」といった観点で、健康増進に関する活動が「役立っているのかどうかの証明」を行っていくとしている。

「いずれは、働いている中で無意識のうちに、食事のサポートがされ、適切な食事が摂れるような世界観をつくっていきたい」(沢木氏)

BtoEサービスのプラットフォーム化

「BtoEプラットフォームの構築」については、まずは同社が提供してきたスマートフォンアプリをオープン化することを検討しているという。

同社のスマートフォンアプリには、同社が提供する各商品の栄養成分やアレルギー情報といった情報が提供されているほかに、商品をアプリ上で購入できる決済機能が搭載されている。また、商品のリクエストなど、利用者が要望を送信できるコミュニケーション機能も搭載されており、マーケティングツールとしての役割も担っている。

スマートフォンアプリの画面イメージ

今後は同社以外の商品も含めて、「オフィス内での経済活動がアプリやプラットフォーム上で完結するようなサポートを行っていきたい」と沢木氏は語った。

「提供するサービスは、衣食住・医療・教育の生活インフラにフォーカスして、さまざまな企業と協業して、パッケージ化させていきたい」(沢木氏)

「オフィスおかん」の惣菜を手に取る沢木氏