新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と物質・材料研究機構(NIMS)は3月28日、ペロブスカイト太陽電池の標準面積のセルで、世界で初めてとなる18%を超えるエネルギー変換効率を達成したと発表した。
同成果は、NIMS 太陽光発電材料ユニット 韓礼元ユニット長らの研究グループによるもので、3月28日~4月1日に米国フェニックスで開催される国際会議「2016 MRS Spring Meeting & Exhibit」にて発表される。
NIMSでは2015年5月、世界に先駆けて1cm2角のセルにおいて変換効率15%を実現しており、さらなる変換効率の向上を目指して、混合カチオン系のペロブスカイト材料の高純度作製方法の提案も行っている。
同研究グループは今回、上記の成果をベースに、ペロブスカイト層の混合カチオンの比を調整し、ヨウ素を一部臭素に置き換えることで、良質なペロブスカイト層の結晶粒子を得ることに成功。これにより、光照射で形成された電子とホールを効率よく取り出すことが可能になり、短絡電流密度を21mA/cm2以上に増大させることに成功した。さらに、ペロブスカイト層と電子輸送層などの各層の膜厚を正確に制御し、太陽電池内部の電気抵抗を減らすことで変換効率の大幅な向上を実現し、変換効率18.2%を達成した。
同研究グループは今後、ペロブスカイト太陽電池の界面制御によって、現在実用レベルでもっとも多く製造されている多結晶シリコン太陽電池のセル変換効率(約20%)を超えることを目標としているという。