3月24日(現地時間)、Microsoftは「Office 365」の2016年3月中に加えた更新情報をまとめた記事を公式ブログで発表した。OneNoteにはEvernoteデータの取り込み機能や写真に描き込んだ手書き文字の検索機能、PowerPointにはデザイナー機能の強化、Office for MacおよびSkype Translatorの新言語サポートなどが行われている。

厳密にはOffice 365の機能ではないが、Microsoft Office team CVPのKirk Koenigsbauer氏は2016年3月の更新情報として、「OneNote Importer」を最初に取り上げた。Microsoftによれば既に1,050万のEvernoteページがOneNoteにインポートされているという。現在はWindows版のみだが、近日中にMac版のリリースを予定している。

「OneNote Importer」を実行した状態。プレビュー版のためか日本語化はされていないが、Evernoteで蓄積したデータをOneNoteに取り込める

次にOneNote。手書きメモを加えた写真に対するテキスト検索機能は以前からサポートしているが、新たにスマートフォンなどで撮影したホワイトボードから文章などを取り出す「Office Lens」やWeb経由でOneNoteへ情報を取り込む「OneNote Clipper」などの手書きメモなども検索対象に加えた。

「Office Lens」など他のツールからOneNoteに取り込んだ手書きメモも検索対象に加えた

PowerPointでは、作成するプレゼンテーションデータに見合ったデザインを自動的に提示し、スライドの見栄えをよくする「PowerPointデザイナー」に、複数の画像を挿入した際にデザインを提示する機能や、現在の色味に合った配色を提案し、全体的なカラーテーマを提供する機能、画像から人の顔を認識してトリミングを容易にする機能を加えている。さらに箇条書きのテキストやデータポイント、リストなどの追加要素に対するデザイン提案も今後実装する予定だ。

複数の画像を挿入すると、それに見合ったデザインを提示する「PowerPointデザイナー」

Office 2016 for MacおよびSkype Translatorは、アラビア語とヘブライ語をサポートし、前者はUIやアプリケーション内で各言語が使用可能になった。後者は音声チャットおよびテキストチャットにアラビア語、ヘブライ語はテキストチャットのみ対応。なお、新たにサポートした言語の通訳・翻訳は「Skype for Desktop」が必要だ。

Wordの使用言語をアラビア語に切り替えた状態。もちろんExcelやPowerPointでも使用可能

アラビア語による通訳・翻訳を行うSkype for Desktop

Office 365には音声サービスが加わった。企業の通話システムをSkype for Businessおよび既存の電話回線、または「Skype for Business PSTN呼び出しサービス」を利用する「Skype for BusinessクラウドPBX通話管理システム」は現在32カ国で利用可能だが、このサービスを今月中に60カ国、2016年6月末までに100カ国まで拡大する。また、最適化した設定済み仮想マシンを用いて、既存の電話回線および番号とOffice 365を接続する「Cloud Connector Edition of Skype for Business Server」については、4月から一般で利用可能になる。

Office 365 PPM(プロジェクト&ポートフォリオ管理)ダッシュボードでは、既存のProject OnlineにPPMが加わり、経営者や資産管理者、プロジェクトマネージャーがリソースの使用率や問題点などの分析に役立つとアピールした。

「Office 365 PPMダッシュボード」からさまざまな分析が可能になる

最後は「Office 365ビデオ統計情報」。以前から企業内で動画を共有するセキュアな動画配信システムとして「Office 365ビデオ」を提供しているが、Office 365ビデオ統計情報は文字どおり対話型の視聴者動向とエンゲージメントグラフを提供するツールだ。Koenigsbauer氏はこれらのデータから、パターン分析や視聴者の傾向が確認できると説明する。

視聴者動向を視覚化する「Office 365ビデオ統計情報」

阿久津良和(Cactus)