ルネサス エレクトロニクスは3月23日、産業機器、OA機器、白物家電などに搭載される複数のモータを同時にインバータ制御可能な32ビットマイコン「RX24Tグループ」を6品種開発したと発表した。
同グループは、RX200シリーズのモータ制御用途向け第1弾製品である「RX23T」の演算能力、モータ制御周辺機能を強化した上位互換製品で、CPU性能を40MHzから80MHzに、ROM容量は128KBから256KBに、そしてピン数とモータ制御周辺機能(タイマ、A/Dコンバータ、アナログ回路)を約2倍に増強したことにより、複数のブラシレスDCモータを1チップで制御可能とした。また、RX23Tとのコンパチビリティを確保しているため、ユーザーはハードウェア、ソフトウェアの資産を継承することができ、幅広い製品プラットフォーム展開が可能となる。
さらに独自開発による「24Vモータ制御評価キット」も用意。キットには評価ボード、ブラシレスDCモータ、センサレスベクトル制御ドライバソフトが付属しており、入手後、即時にモータ制御の評価を開始することができるほか、開発工数を短縮する必須ツール「RAM変数波形表示ツールICS(In-Circuit Scope)」 を活用することで安全なデバッグが可能となり、評価時間の短縮も可能となる。加えて、対応開発評価ツールとして、統合開発環境「CS+」、「e2 studio」、コード生成支援ツール、Cコンパイラ、デバッガ、フラッシュ書き込みツールのほか、初期導入に必要な開発環境として、RX24Tを実装したリファレンスボードとマイコンの評価環境がセットになった「RX24Tスタータキット」も提供される。
このほか、3シャント電流や1シャント電流などを同時に4ch増幅可能なオペアンプと、増幅した電流をそのまま過電流検出が可能なコンパレータ、3シャント電流などを同時に最大5チャネル取得可能なサンプル&ホールド回路、ログや設定ファイル用EEPROMなどのインバータ制御システムに必要な外付け回路をマイコンに内蔵しているため、基板実装面積を縮小することが可能なほか、FPU機能の搭載により、従来の固定小数点演算時に必須である小数部の桁合わせを不要にでき、シンプルなソフトウェア構造で開発することが可能となり、結果として、デバッグなどが容易となるため、開発期間の約30%短縮や、ソフトウェア不具合の発生率の抑制が可能になるとしている。
なお、6品種は順次、発売され、量産は2016年3月より開始予定。2017年7月には月産50万個の量産規模を実現する計画で、サンプル価格は80ピン、128KBフラッシュメモリ品「R5F524T8ADFN」で400円/個(税別)だという。