損害保険ジャパン日本興亜は3月22日、同社のコールセンターの一部において人工知能(AI)や音声認識技術を利用する「アドバイザー自動知識支援システム」の運用を2月1日から開始したと発表した。
同社では現在、アドバイザー(オペレータ)は利用客からの照会に迅速かつ正確に回答するため、各種マニュアル類・規定、商品パンフレット、FAQ集、社内イントラネットなど、多くの種類の文書を参照しているという。このため、応対品質がアドバイザーの経験と文書探索力に依存するところがあり、特に、新たに配属されたアドバイザーは自力で目的の文書を探し出せるようになるまでに一定期間を要するという課題が生じているとのこと。また、超高齢社会の到来による労働人口の減少により、コールセンターの人材確保が難しい環境になることが予測され、人と機械が連携するコールセンターの体制確立にいっそう取り組んでいく必要があるとしている。
これらの状況をふまえ、同社はコールセンターに人工知能(AI)や音声認識技術を利用する同システムを導入したとのことだ。
同システムではまず、コールセンターに日本語解析技術を利用する音声認識技術を導入し、顧客とコールセンターのアドバイザーとの通話をテキスト化する。テキスト化したデータを基に、複数の要素技術を利用する人工知能による同システムが、データベースから問い合わせに対する最適な回答候補を検索し、アドバイザーが使用するPC上にリアルタイムで表示する。これにより、顧客への回答時間の短縮を図るという。
アドバイザーは回答後、同システムが表示した回答候補の検索結果の正否をフィードバックすることで同システムに学習させ、回答候補表示の精度向上(機械学習)につなげていくとのこと。
同システムの導入により、経験の浅いアドバイザーでも顧客へ迅速な回答がしやすくなり、応対品質が向上すると共に応対時間が短縮するとしている。
また、音声データをテキスト化することで、顧客から問い合わせが多い業務や不満、新たなニーズなど多様な分析ができ、商品・サービスの改善、コールセンターの応対力強化につながることを期待できるという。
同社は今後、同システムの運用を通じて、検索対象となる情報の整備や運用ノウハウの蓄積を進めると共に、同システムの将来的な適用範囲の拡大を検討していくとのこと。また併せて、コールセンターの音声から、顧客の声の収集・分析や、人工知能利用による迅速・的確な電話対応、さらにはWeb上での課題解決プロセス拡充などに取り組むことで、顧客サービスを一層強化していくとしている。