富士通研究所と富士通研究開発中心(FRDC)は3月22日、大都市圏内に点在する複数のデータセンター間を大容量かつ低コストで接続するため、1波長あたり毎秒400ギガビット(Gbps)光送受信器に向けたデジタル信号処理の基本方式を開発したと発表した。

従来、送信器の出力信号を観測しながら信号ひずみを補正することによって、送信器として可能な限り品質の良い信号を送信することが一般的だったが、400Gbpsにおいては、求められる処理精度が高くなるため、送信器側で補正することが難しくなり、部品・回路コストが増大するという。

そこで今回、独自の基準信号を送信することにより、受信器側で送信器の信号ひずみを補正可能とする新しいデジタル信号処理方式が開発された。

また、従来の光受信器では、伝送路のひずみを補正してから信号検出のための位相再生処理を行う必要があったが、送信器のひずみの影響が大きい場合は補正が困難だった。今回、独自の基準信号を用いることで伝送路のひずみを補正せずに位相再生を可能とする技術を開発した。

光送受信器の構成

同技術を用いることで、都市圏内に配置したデータセンター間の広帯域ネットワーク構築に十分な距離を想定した160kmの光ファイバーで400Gbps信号の伝送実験に成功したという。

開発技術を適用した160km無中継伝送実験システムの構成

同技術は、これまで課題とされていた低コスト部品などを利用した場合の特性ばらつきの補償に対しても適用可能で、次世代の分散コンピューティング基盤を構成する、1波長当たり400Gbpsの光送受信器の低コスト化を実現できるとしている。

富士通研究所は、シリコンフォトニクス技術と組み合わせた検証を進め、400Gbps光送受信器として2019年の実用化を目指す。