ドワンゴは、イタリア・ローマのDigitalVideo社が開発したアニメーション制作ソフト「Toonz」を買収。これを元に同社が開発した無償のオープンソースソフト「OpenToonz」を開発したことを発表した。公開開始は3月26日より。
「OpenToonz」は、長年「Toonz」を利用してきたスタジオジブリが独自に開発した「Toonz」向けの機能(※Toonz Ghibli Edition)が含まれる。これに加え、ドワンゴでは自社の人工知能技術を使った「OpenToonz」向けのエフェクトや、誰でもエフェクトを追加できるプラグイン機能を新たに搭載し、あわせて無償提供を行う。
Toonz Ghibli Editionは、「Toonz」のソースコードをスタジオジブリ社内でカスタマイズしたもので、『借りぐらしのアリエッティ』以降のほぼすべての作品の仕上、色指定、撮影工程(手描きの絵をスキャンするところから、最終的な画面を組み上げるところまでの各工程)で使用されている。
今回の発表に際し、スタジオジブリ エグゼクティブ イメージング ディレクター 奥井敦氏は、同社が「Toonz」を採用したのは、「1995年「もののけ姫」制作時に一部をデジタル制作するため、『混在させても違和感が無く、劇場クオリティでもストレスなく作業出来る事』を条件に、当時使用出来たソフトから選定した」と明し、「アニメーション業界はもとより、より多くの人に使用していただければ幸いです」ともコメントした。
一方、ドワンゴは「OpenToonz」を通じて、アニメーション制作に関連する様々な研究成果を即座に制作現場に生かせるようなプラットフォームを作り、学術研究と映像産業が活発に連携できるような環境を提供したいと考えているとのことだ。
また、3月26日・ 27日には、東京ビッグサイトで開催されるアニメイベント「AnimeJapan 2016」にて、「OpenToonz」の展示・説明会がKADOKAWAブースで行われる。26日には、クリエイションステージにて『アニメーション制作ツールのオープンソースプロジェクトについて』と題したセミナーを実施。ドワンゴ会長・川上量生氏のほか、「OpenToonz」について共同研究を行っている東京大学大学院情報学環の岩澤駿助教、特別ゲストとしてスタジオジブリ エグゼクティブイメージング ディレクターの奥井敦氏が登壇する。
なお、買収に際して、両者は「ドワンゴが『Toonz』を元にしたオープンソースプラットフォームを開発し公開する」という条件のもとに合意。これに基づき、ドワンゴはオープンソースソフトウェア「OpenToonz」として誰もが無償で利用でき、改良できる形にして発表した。