米Alphabetがロボットの研究・開発を手がけるBoston Dynamicsの売却に乗り出した。米国時間の3月17日にBloomberg Businessが報じた。Alphabetのロボティクス計画にBoston Dynamicsの活動がとけ込めず、研究成果を商業的な製品に結びつけることもできなかったという。売却先の候補として、トヨタ自動車が米国に設立した人工知能研究会社Toyota Research Institute (TRI)やAmazon.comが挙げられている。
Boston Dynamicsは1992年にマサチューセッツ工科大学(MIT)でMarc Raibert氏が創業したロボット研究・開発スタートアップだった。荒れ地や傾斜のある山道、滑りやすい雪道など、車やロボット用に整備されていない環境下においても、バランス良く障害物を避けながら移動する機動力に優れたロボットを開発している。その動きはとてもなめらかで、犬とじゃれ合う4足歩行ロボットや、歩行中に横から強く蹴られても転ばずにバランスを取る4足歩行ロボット、邪魔されても命令通りに荷物を整理し続ける2足歩行ロボットなど、同社が公開したロボット研究のデモ動画は大きな話題になった。
2013年12月にGoogleがBoston Dynamicsを買収し、同社はReplicantグループに属して活動していた。昨年Googleが組織構造を一新して持ち株会社制に移行した際にReplicantグループの活動計画の見直しが行われ、Boston Dynamicsにも商業的な成果が求められるようになった。そこで低コストの4足ロボットの開発を試みたものの形にならず、昨年12月にReplicantグループはX (旧Google X)に組み込まれた。Xは未来の技術に投資する長期的な研究開発活動を行っているが、それらはAlphabetグループが目指す問題解決に沿ったものである。Replicantグループのロボット技術開発は、そのままではXの事業に適合せず、Xとしての再編の過程でBoston Dynamicsが売却されることになったという。
2月にBoston Dynamicsが公開したYouTube動画「Atlas, The Next Generation」はネットから話題が広がり、ロボティクスにおけるAlphabetの先進性を広く一般に知らしめた。しかし、記事によると、Alphabetがヒューマノイドに注力しているようなイメージの拡散にGoogleの広報チームは不快感を示していた。