慶應義塾(慶應)と医薬品医療機器総合機構(PMDA)は3月11日、日本のレギュラトリーサイエンスの振興に資することを目的として、同日付で包括的連携協定を締結したことを発表した。
「レギュラトリーサイエンス」とは、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行い、科学技術の成果を人と社会との調和のうえで最も望ましい姿に調整するための科学のことで、平成26年5月30日に制定された健康医療戦略推進法において、レギュラトリーサイエンスの振興を図っていくことが、国の方針として打ち出されている。
PMDAは、「医薬品・医療機器などの審査」「安全対策」「健康被害救済」の三業務を行っており、これまでに、連携大学院協定を19の大学と締結し、PMDA職員を客員教員として派遣することで、レギュラトリーサイエンス教育に貢献してきた。また、革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業として、大学・研究機関など24機関と連携。アカデミアから研究者をPMDA職員として受け入れ、医薬品・医療機器などの審査における質向上を図ってきた。
今回の包括的連携協定は、上記の連携を発展・強化したもの。PMDAはこれまでに国立がん研究センターと包括的連携協定を締結している。
慶應とPMDAはこれまでにも人材交流を行ってきたというが、同協定の締結により、PMDAは、職員を慶應義塾大学に派遣し、医学部・薬学部を中心に講義を受講、あるいは講義を行うことを通して、行政の視点を持つ人材を育成していく。一方、慶應は、臨床医学分野の専門家が医薬品、医療機器等の審査業務等を行うことを通じて、レギュラトリーサイエンス振興に寄与する人材を育成していくとしている。
また両者は「安全対策にかかる検証的研究」を共同で行い、安全対策のより効果的な方策に向けて検討を行っていくという。