島津製作所は3月7日、有機合成物や天然物などの複雑な試料中の目的化合物を短時間で自動回収できる「超高速分取精製LCシステムProminence UFPLC」を発表した。

同製品は、分取から回収までの操作をすべて自動化し、従来法で8時間以上かかるところを約90分に短縮することを可能としたもの。目的化合物を分取、濃縮、精製、回収する条件は、各工程に即した専用ソフトウェアで簡単に設定でき、作業者の負担を低減することが可能なほか、繰り返しサンプルを注入して回収量を増やす場合、初回の分取で設定したパラメータをそのまま用いてスムーズに次の分取を開始できるため、分取精製のスループットを向上させることが可能だ。

また、同社の精製技術トラッピングカラム「Shim-pack C2P-H」により、カラム内で目的化合物を強力に保持することができるため、移動相由来成分の除去を容易に行うことができ、試料を高純度に精製することができるほか、移動相由来成分の除去後にアンモニア水などをカラムへ送液することで、目的化合物をフリーベース(遊離塩基)として回収でき、これにより粉末化が容易になる上、医薬品候補の薬効スクリーニングや薬物動態試験など、新薬の探索研究のクオリティを改善することができるという。さらに精製された目的化合物は、揮発性の高い有機溶媒で回収されるため、蒸発乾固にかかる時間も従来比約1/10以下に短縮しているとする。

加えて、分取から回収までの分取精製工程を1台で行えるため、従来製品比で約1/3に設置スペースを低減することが可能なほか、分取精製用途に合わせて、目的化合物を高純度な有機溶媒で回収できる標準システムから複数成分を高純度な粉末として回収できるアドバンスドシステムまで構築でき、従来品に比べ導入コストの低減を図ることもできるという。

なお、価格は1200万円(税別、PCおよびソフトウェアを含む)からとなっており、同社では、同製品を販売することで、分取LCシステムを組み合わせた一連の分取、精製、粉末化工程のすべてにソリューションを提供し、顧客の分取精製業務の効率改善に貢献していきたいとしている。

島津製作所の超高速分取LCシステムProminence UFPLCの外観