アスクルとマネーフォワードは3月1日、オフィス向け・個人向けの両分野において新規サービスを共同開発・展開することを目的に、業務提携したことを発表した。

アスクルとマネーフォワードが、オフィス向け・個人向けそれぞれのサービスにおいて、業務提携

アスクルは現在、オフィス用品通販サービス「ASKUL」と、個人向けの日用品ネットショップ「LOHACO(ロハコ)」を展開している。一方マネーフォワードは、オフィス向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」と、個人向け自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を展開。「MFクラウドシリーズ」では、確定申告ソフトや会計ソフト、請求書作成ソフトといったラインアップが展開されている。

子育て世代をユーザーに抱える「LOHACO」では、働く女性の時短を支援するために、家計簿ソフトの導入を模索していたという。そうした中、ユーザー満足度や利用者数で高い数値を獲得している「マネーフォワード」に、アスクル 代表取締役社長の岩田彰一郎氏が注目し声をかけたのが、今回の業務提携の発端だという。

まず、オフィス向けサービスでは、オフィスに必要なさまざまな「モノ」を提供するアスクルと、企業のバックヤード部門の業務を効率化する「サービス」を提供するマネーフォワードが、両社でクラウドサービスを提供・展開していくことによって、中小企業の生産性を向上させることが、提携の目的の1つとしている。

マネーフォワード 代表取締役社長CEOの辻庸介氏は、「日本の中小企業のクラウドサービス利用は、アメリカに比べて遅れている。アメリカでは、約6割の中小企業がクラウドを利用しているのに対し、日本では、約4分の3の中小企業がクラウドを利用していない状況だ。中小企業の生産性を向上させるために、今回の提携によって、国内のクラウドサービス利用率が60%を超えるようにしたい」と意気込みを語った。

マネーフォワードが提供するクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」の「MFクラウド 請求書」を先駆けとして、「ASKUL」の利用顧客に対して「MFクラウド for ASKUL(仮称)」を今年の夏をめどに提供していく予定とした。アスクルは、全国約1,400社のエージェントやカタログなどを通じて、顧客にクラウドサービスを提案していくとした。

個人向けサービスでは、日用品を購入できる「LOHACO」と、自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を連携させることによって、両社のユーザーに徹底的な効率性・利便性を提供するとしている。これが提携の目的の2つめである。

個人向けには、「LOHACO家計簿 powered by Moneyforward」(仮称)」が、共同で開発される予定となっており、こちらも今年の夏ごろがリリース予定とされた。同サービスを利用すると、「LOHACO」で購入した内容が自動的に家計簿へ登録されたり、支出履歴の確認画面から「LOHACO」での追加購入が可能になるといったことが考えられている。

「LOHACO家計簿 powered by Moneyforward」(仮称)」によるアプリ連携イメージ

岩田氏は、「eコマースとFinTechが融合することによって、今後は新たな与信サービスも考えられるだろう」とコメントした。

左:マネーフォワード 代表取締役社長CEO 辻庸介氏、右:アスクル 代表取締役社長 岩田彰一郎氏