NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は3月1日、クラウドサービス「Enterprise Cloud」に、「専有型Hosted Private Cloud」、「エンタープライズ向け共有型 Cloud」など新たな機能を追加し、同日より世界6カ国で順次提供すると発表した。
「専有型Hosted Private Cloud」は、基幹業務のオンプレミスからクラウドへの移行基盤として、プライベートクラウドをサービスとして提供するもの。自社構築の場合、サーバ追加に2カ月程度要していた導入期間を、サービスとして提供することで、30分程度での追加が可能になるという。
従量課金に対応したベアメタルサーバと、VMware vSphereとMicrosoft Hyper-Vに対応するマルチハイパーバイザーを専用型サーバで提供。オンプレミス上で運用していたライセンスを既存の基幹システムを設計変更なくクラウド環境へ移行することも可能だという。
「エンタープライズ向け共有型 Cloud」は「OpenStack」を基盤として採用し、オープンなAPIを装備した共有型Cloud。これにより、アジャイル型・DevOps志向などの業務アプリケーションの効率的な開発・運用が可能だという。こちらは主に、IoT/ビッグデータ/新ビジネス基盤としての用途で提供する。
NTTコミュニケーションズ クラウドサービス部 ホスティングサービス部門長 栗原秀樹氏は、これらの基盤を提供する理由を「今回の機能追加によって、基幹システムのクラウド化推進とデジタルビジネスにも対応する機能を提供し、双方のニーズを満たすICT基盤を提供する。IT基盤は、以前はコスト削減が中心だったが、最近ではIoT、ビッグデータのほか、経営改革の面も注目されている。そのKPIはなるべく早く、なるべく新しい機能を提供することだ。そのために、今回機能を大幅に強化することにした」と説明した。
また、今回は両クラウド基盤をSDN技術を活用し、L2接続による同一ネットワーク上で提供する。これにより、オンプレミス上で複雑な構成で運用しているネットワーク環境を、仮想サーバ・ベアメタルサーバなどとファイアウォールやロードバランサーなどのネットワーク機能を自由に組み合わせた、柔軟性の高いネットワーク環境で利用できる。これにより、オンプレミス上で実現していた統一的なポリシー管理を適用でき、ガバナンスの強化に貢献するとしている。また同社では、オンプレミスで運用しているシステムのクラウド移行を完全自動化することで、ネットワークやサーバ構成の設計変更作業などが不要となり、設計工程の約30%が削減可能だとしている。
さらに、今回「Enterprise Cloud」のクラウド拠点間を10Gbpsベストエフォートの閉域ネットワークで無料で接続する。
管理面では、「Enterprise Cloud」のほか、他事業者が提供する複数のクラウド基盤も含めて、ポータルサイトから一元的に運用管理できる「Cloud Management Platform」(CMP)を新たに提供する。
栗原氏は、「専用型と共有型のクラウドをシームレスに接続することで、クラウド移行をサポートしていきたい」と語る。
「Enterprise Cloud」の新基盤は同日より日本での提供を開始し、イギリス、シンガポール、アメリカ、オーストラリア、香港、ドイツなどの拠点も2016年中に順次展開する。
同社では「Enterprise Cloud」を現在世界11カ国14拠点に展開しており、同社のデータセンターの面積は2013年3月の15.5万平方メートルから2015年11月には31.1万平方メートルと2年半で倍増させている。2015年12月以降も37.7万平方メートルまで拡大させる計画だ。
栗原氏も「今後も投資は継続していく」と語り、SDxによるデータセンター/ネットワーク/クラウドをグローバルに統合し、グローバル展開を拡充するという。また、OpenStackを含むコミュニティや業界の最新技術を積極的に取り込み、それらで足りない部分を追加していくマイクロサービスアーキテクチャを採用するという。