Software Freedom Conservancyは2月25日(米国時間)、「GPL Violations Related to Combining ZFS and Linux - Conservancy Blog - Software Freedom Conservancy」において、先日Ubuntuが次期リリースバージョンでZFSのサポートを表明したことを受け、zfs.koがGPLに違反する可能性があることを指摘した。次期UbuntuからZFSが利用できると期待していたユーザーは、しばらく状況を見守ることになるかもしれない。
ZFSは元々Solarisで利用するボリューム管理機能およびファイルシステムとして開発されてきた。OpenSolarisが公開されてからSolaris以外でも利用されるようになり、現在ではIllumosやFreeBSDなどで積極的に活用されている。ZFSが提供する機能は柔軟で強力であり、ストレージシステムやコンテナ型仮想化技術でも重要な基盤技術として活用されている。
しかし、ZFSはこれまでLinuxディストリビューションでは積極的に利用されてこなかった。これはZFSが利用しているCDDLというライセンスと、Linuxカーネルが採用しているGPLv2が相容れない関係にあるためだとされてきた。このライセンス上の問題に関してはこれまで度々指摘されていたほか、ライセンス問題が発生しないバージョンが実装されたといった話題が出たこともある。
今回のSoftware Freedom Conservancyの指摘はこの問題に関して再度喚起を促すことになる。ライセンスに関する問題は複雑で、法律の専門家による議論が必要になる。2016年4月に公開が予定されているUbuntu 16.04 LTSでZFSがサポートされるかどうかは、検討を必要とする事態になった可能性がある。最終的にCanonicalがどのように判断するかになるが、Ubuntu 16.04 LTSでのZFSの利用を想定していたユーザーは、その利用をもうちょっと待つ必要があるかもしれない。
ZFSを利用したストレージシステムやエンタープライズシステムの構築はIllumosやFreeBSD、またはFreeBSDをベースとしたオープンソース・ソフトウェアのストレージソリューションFreeNASやNAS4Freeを使うといった方法がある。また、デスクトップとして利用できる環境でZFSを使いたい場合はPC-BSDを利用するという方法がある。Ubuntuでの利用を検討していた場合、こうした代替候補の利用も視野に入れておくとよいかもしれない。