国立天文台は2月25日、すばる望遠鏡を用いて星と惑星が活発に成長している現場を捉えることに成功したと発表した。
同成果は台湾中央研究院のハウユ・リョウ 研究員 (現ヨーロッパ南天天文台) と高見道 弘研究員の国際研究チームによるもので、成果は米科学誌「Science Advances」に掲載された。
今回の研究では、すばる望遠鏡に搭載された近赤外線高コントラスト撮像カメラ「HiCIAO」を用いることで、生まれかけの星が100倍以上の増光を伴う突発的な質量降着を起こす「FU Ori型バースト」と呼ばれる現象が生じている4つの星を観測し、星周物質の分布を捉えることに成功した。これらの星は約1500ー3500光年離れた場所にあり、そのうち3つの星では尾のような構造が、1つでは渦のような運動に伴うとみられる構造があった。また、中心星が星周物質を吹き飛ばしたかのような複数の筋状構造をもつ星も確認されており、研究チームは「あたかも、夢中に食べる人間の赤ちゃんが『ごはん』を食べ散らかしているかのようです。」とコメントしている。
研究チームがシミュレーションを行ったところ、このような構造は星周物質が降着して星が生まれる際に、落下運動、軌道運動、そして星周物質自身の重力により、複雑な構造が形成されることが判明。「FU Ori型バースト」では生まれかけの星に降り注ぐ物質が複雑な分布をしているため、星に到着する星周物質の量が大きく時間変動し、時々大きな増光が観測されると考えられるという。