サンテックパワージャパンは2月24日、単なる太陽光発電モジュールの販売のみならず、太陽光発電所の運営および保守管理サービス(O&Mサービス)など周辺ソリューションを強化していくことで、日本市場での存在感を増していくという新たな戦略を明らかにした。
同社が掲げる戦略は「太陽光+α」。同社取締役社長であるガオ ジャン氏は、「ゼロエネルギー、自給自足といったこれからのライフスタイルに柔軟に対応していくことができる戦略」とし、一般家庭を対象とする「住宅向け」、公共施設などを対象とする「都市と社会向け」、そして太陽光発電所などを対象とする「産業向け」の3つのセグメントに分けて、それぞれのセグメントの顧客に向けたメッセージを打ち出すことで、ビジネス機会の創出を図っていくとする。
2016年2月22日、太陽光発電の2016年度調達価格(買い取り価格)が示されたが、制度が始まった2012年度から年々引き下げられてきており、今や1kWhあたりの価格は半額程度まで下がることとなった。しかし同社では、「世界的に見て、買い取り価格はまだ高いレートであり、事業としての実現性はまだまだ高い。モジュールの受注状況も2015年を上回る勢い」(サンテックパワージャパン 取締役 最高執行責任者の山時義孝氏)と価格も想定の範囲内であるとしており、工事価格などを抑制していくことが今後のポイントになるとの見方を示す。
とはいえ、単にモジュールだけを販売していても、やがて市場が飽和することは避けられない。そこで同社が進めようとしているのが、先述の「太陽光+α」の戦略となる。例えば一般家庭向けとしては、一般的な屋根の上に設置するタイプだけでなく、工務店の教育とセットの屋根一体型建材モジュールの提供による、メンテナンスの軽減と住宅としての見栄えの向上などを提案しているほか、公共施設などに向けては、価格と性能のバランスを重視したパワーコンディショナ(パワコン)の提供や、開発中の軽量型太陽光発電モジュールの2016年度中の投入などを計画している。
さらに同社がもっとも注力している姿勢を見せるのが産業向け分野だ。「事業者の課題は、システムの不具合による売電ロス。そこをオンサイトで監視し、現場での調査のほか、国内の検査サイトでの調査などを行うことで、不具合の抑制を実現していく」(山時氏)という付加価値を実現するのが、同社自身が提供する長期運用の実現をうたったO&Mサービスであり、4月1日からは同社の親会社であるSFCE(順風インターナショナルクリーンエナジー)の傘下企業の1つである独Meteocontrol製の遠隔監視システムの提供を開始することで、サービス内容の強化を図る。
この遠隔監視システムは、複数のパワコンに接続され、それぞれの状況を監視する「blue'Log Xシリーズ」と、それらの情報をネットワークを介しサーバに集約し、クラウド上で、状況の把握を可能とするクラウド型監視分析アプリ「バーチャル管制室 VCOM」で構成される。これらを活用すると、発電所全体の発電状況のみならず、発電所内のどこのモジュールで障害が発生しているのか、といった不具合を遠隔地で特定するといった詳細なデータを取得することが可能となり、それによりダウンタイムの削減が可能となり、結果として売電ロスの抑制を実現できるようになるという。すでに全世界で10.7GWの太陽光発電システムの監視に用いられているとのことで、実績も十分だという。
「積極的に不具合の検出を行っていくことで、従来の点検では検出できていなかった不具合をモジュール1枚単位で見つけ、売電ロスを防ぐことが我々の武器となる。また、モジュールベンダとしてのノウハウを活用することで、他社のモジュール含めて、国内での実際の不具合検査も可能であり、そうした部分も大きな付加価値になる」(山時氏)とのことで、ソリューションとしての提案を他社に先駆けて行っていけることを、自社の強みとして販売につなげていきたいとする。
なお、同社の日本市場での成長率は、2015年度の売上高が前年度比で15%増、発電システムの出力としても同14%増となっているとのことだが、遠隔監視システムの販売により、高い成長率を維持したいとのことで、同システムの販売や導入コンサルティングサービス、監視サービスなどのビジネスで年間10億円の売り上げを目指すとしている。