アミノ酸の1種であるALA(5-アミノレブリン酸)を使った研究開発を行うALAサイエンスフォーラムは2月25日、ALAと糖尿病の関連性についてメディアセミナーを開催した。
ALAは、さまざまな生命体の細胞内のミトコンドリアに存在し、ヒトの体内では代謝を亢進する役割を果たしていると考えられている。ヒトでは17歳をピークに減少することが報告されており、ALAが不足することで糖代謝が低下し(血糖値が上昇し)、糖尿病につながる可能性がある。また、糖代謝が停滞するとエネルギー代謝が低下するため、加齢および疾病が進行して悪循環に陥ってしまう。これに対し、ALAと鉄を投与することでエネルギー代謝が向上するとの報告があり、糖代謝の悪循環に対する有効な改善方法になる可能性があると見られている。
血糖値に対するALAの効果はヒトで確認されており、糖尿病予備軍を対象とした臨床研究ではALAが空腹時血糖と糖負荷試験の2時間後の血糖値を優位に低下させることが確認された。また、2型糖尿病患者を対象とした臨床試験でも、糖尿病と密接な関係を有するHbA1cを有意に低下させることがわかった。また、いずれの場合でも副作用は認められず、経口糖尿病薬で治療中の2型糖尿病患者がALAを服用しても安全であることが確認された。
ただ、経口糖尿病薬とALAの効能を比べると、HbA1cの減少量で見た場合ALAは薬剤ほど効果があるわけではない。しかし同セミナーに登壇した東京大学医科学研究所の山下直秀 教授によれば、上記の研究結果などから糖尿病予備軍に対しては有効な成分だと言えることができるという。また、ALAは食品から効率的に摂取することが難しいことから、サプリメントとして摂取することで糖尿病の予防効果が期待できるとした。