パナソニックは2月23日、高耐久性能を備えたスマートデバイス「TOUGHPAD(タフパッド)」の新型モデル「FZ-N1」を発表した。法人向けで、KDDIとNTTドコモのLTE通信網で利用できる。製品価格は、15万円(税別)で、26日より発売する。

FZ-N1は、4.7インチ液晶と、専用バーコードリーダー、1.8mの落下耐性を備えた端末として、世界最軽量となる275gの重量を実現(同社調べ)。頑丈性能や専用バーコードリーダーの搭載以外にも、VoLTE対応や、晴天下の日差しが強い状況でも視認性の高い高輝度バックライト、3200mAhの大容量バッテリーによる長時間駆動も可能にした。

同社は、これまでもタフパッドシリーズで、タブレットやハンドヘルドを投入しており、Android OSのFZ-X1、Windows Embedded 8.1のFZ-E1の両ハンドヘルドモデルは好評だったという。今回のFZ-N1は、これら製品を求めつつも、異なるニーズのあった事業者向けに開発したもので、同製品の投入で現在25%の"頑丈モバイルデバイス"のグローバルシェアを、2018年までに30%へ引き上げるという。

頑丈性能

パナソニックが、これまでのタフパッドやタフブックで培ってきた耐落下・衝撃性能、防塵・防水性能、寒冷・炎暑対応はそのまま採用しており、米軍の耐久性能試験「MIL-STD-810G」に準拠したほか、独自に設定した高耐久性能試験もクリアしている。

バーコードリーダー

バーコードリーダーは、通常のカメラではなく、専用機同等のものを用意し、エイマー(レーザーによる赤い照準光)で、バーコードを正確に読み取りやすくなる。44種類のバーコード読み取りに対応するため、さまざまな業種で使用されるバーコードに対応するほか、明るいライトも備えている。

ネットワーク対応

ネットワークは、NTTドコモとKDDIに対応し、どちらも法人窓口で販売される。特筆すべきはVoLTE対応で、両キャリアで最新の音声通話が可能となる。また、高音質のVoLTEを最大限に活かす「3マイク+ノイズサプレッサー」を採用しており、騒音が大きい環境下でも、クリアな音声で会話できる。なお、MVNOにおける利用については、「検証が行えていない」(パナソニックシステム ネットワークス ターミナルシステムビジネスユニット 国内営業部 部長 向坂 紀彦氏)としていた。

視認性・操作性

ディスプレイには、高輝度バックライト(500cd/m2)を採用し、反射防止加工も施した。また、手袋を必要とする業種でも利用できるよう、手袋操作モードを用意したほか、雨天時など、ディスプレイに水滴がついても誤作動しない「水滴誤動作防止モード」を用意。この機能はパナソニック独自特許によって実現したという。なお水滴誤動作防止モードについては、タッチパネルの接触判定が静電容量式と感圧式のハイブリッドモードとなるため、1フィンガータッチのみになるとしている。

長時間駆動

長時間駆動では、3200mAhの大容量バッテリーを搭載し、連続使用環境下で約8時間駆動を実現した。急速充電にも対応するほか、スマートフォンでは採用例の少ない「ウォームスワップ」機能を搭載。バッテリー取り外し後の1、2分以内であれば、OSがシャットダウンすることなく、バッテリーパックを交換できる。

Windows 10版は検討中

記者会見で、パナソニックの向坂氏は「N1の軽量コンパクト、斜め配置のバーコードリーダーは、小売業や流通業など、ニーズのあった業種に展開したい」と、薄型軽量のタフデバイス展開の理由を語る。

薄型軽量を突き詰めるのであれば、専用バーコードリーダーは足かせとなるため、アタッチメントのような販売形式も選択肢にあったとのことだが、「お客様に期待されている要素の多くがアタッチメント型よりも、専用バーコードリーダーとしての一体型だった」(同)のだという。

今回の製品ターゲットは、流通や小売、医療といった屋内利用のサービス業で、「従来は、超堅牢タブレットということで、全モデルにおいて、屋外で利用されるお客さまに好評をいただいた。一方で、屋内で利用されるお客さまの場合、軽いバージョンが求められた」としており、従来製品とは異なるニーズを、この1台で拾う狙いを語った。

なお、今回はNTTドコモ/KDDIネットワーク対応の2製品で展開される予定で、採用OSはどちらもAndroidとなる。Windows 10 Mobile版については「開発は検討している」(パナソニックシステム ネットワークス ターミナルシステムビジネスユニット スマートフォン開発部 ハード統括 浦田 康人氏)としていた。

製品外観