EMCジャパンとNTTデータグローバルソリューションズ(NTTデータGSL)、JSOL、ヴイエムウェア(VMware)は2月22日、SAPが提供する「SAP Co-Innovation Lab Tokyo(COIL Tokyo)」を利用し、COIL Sponsorおよび Memberの協力の下、SAP S/4 HANAに関する共同検証を実施したと発表した。

具体的には、EMCのオールフラッシュストレージである「XtremIO(エクストリームアイオー)」を用いたTDI(SAP HANA テーラード・データセンター統合)上で構築されたSAP HANA on VMware vSphere 6.0において、SAP S/4 HANAの構築、および運用に関する実証検証を実施することにより、SAP HANA VMware on vSphere 6.0環境における運用のベストプラクティスを確立したという。

検証の目的はSAP S/4 HANAに代表されるSAP製品の統一的なデータベースプラットフォームであるSAP HANAは今後、TDI上での稼働が増えることが見込まれている。このTDI環境において利用可能な仮想化ソフトウェアであるVMware vSphere 6.0は10月に非本番でSAP HANA認定を取得し、近日中に本番環境でもSAP HANAの認定の取得を予定している。

そこで、今後利用が広がることが見込まれるTDI環境におけるVMware vSphere環境での運用技術を確立させるとともに、運用性、操作性を有するオールフラッシュストレージが高速性だけでなく運用性にも秀でていることを実証することを目的としている。

検証概要は目的に沿って、従来のアプライアンス製品と比較をする形で以下の4種類の検証を実施した。

1)VMware vSphere High Availability、VMware vSphere vMotion によるHANAのサーバ移動に伴う検証
2)高速なHANA Storage snapshotとXtremIO snapshotを活用したSAP開発環境の構築
3)HANAの稼働条件ごとのパフォーマンス測定(HANAインスタンスの単体稼働、共通の All Flash ストレージ上で稼働する複数のHANAインスタンスの稼動、ローカルHDD上で稼働するHANAインスタンスの単体稼働)
4)VMware vSphereテンプレートからのHANA環境の構築

各社の役割としてEMC ジャパンはCOIL環境へXtremIOを提供し、ストレージ設定および検証評価における性能値の採取手順化など、オールフラッシュストレージを活用するノウハウを提供し、NTTデータGSLはNTTデータグループ傘下のitelligenceにおけるVMware vSphere 5.5上でのSAP HANA on VMware vSphereによるホスティング実績を基にしたTDI環境構築ノウハウの提供と仮想OS設計、構築およびストレージ設定を担当。

また、JSOLはSAP Business Suite powered by SAP HANAの本稼働実績およびSAP S/4HANAプロジェクト推進(導入中)の経験を踏まえた、稼動OS上でのSAPベーシス作業および各種検証評価、VMwareは検証用のVMware vSphere 6.0を提供し、仮想化上のSAP HANAのテスト環境構築と、VMware vSphere 6.0の機能を活用したテストの実施に対するナレッジを提供した。

CiscoはUCSサーバおよびNEXUSの提供、検証シナリオに対する技術的なナレッジ提供を担当し、SAPはCOIL Tokyoおよび付随するSAPソフトウェアの提供およびJSUG(Japan SAP User's Group)など取り組み公開の場の提供を担当。

検証環境概念図

検証結果は、今回の実証検証により、SAP HANA on VMware vSphereとXtremIOを組み合わせたSAP TDI環境であればインフラ投資に対するコスト削減やストレージ運用性を実現可能なことが確認できた。また、検証を通じて各検証環境の構築、操作手順も整備することが可能となった。

効果はストレージにオールフラッシュストレージを採用することでSAP起動時間の高速化を実現し、オンラインサービスレベルの向上が図れるとしている。また、SAP HANAおよびストレージのスナップショット機能を活用することで短時間でSAP開発環境を構築できることから、新規業務要件のための開発インスタンス早期立ち上げなどが可能となるほか、一時的なアプリケーション検証後、あるいは障害時に必要となるSAP HANAのDBリストアが迅速かつ容易に実施できるという。

さらに、VMware vSphere 6.0の機能を活用することで、ダウンタイムの排除が可能になり、仮想化されたSAP HANAを自動的に再起動する仕組みで高可用性も実現が可能なことに加え、VMware vSphere 6.0からサポートされる1ESXiサーバ上での複数のHANAインスタンス稼働を行うことで手持ちの既存物理サーバのリソースの有効活用が期待できるという。

今回の検証結果をもとに、各社においてインフラ投資の観点でSAP HANA on VMware vSphere 6.0およびXtremIOを利用したSAP TDI環境の構築を推進していくという。