IDC Japanは2月22日、国内外付型エンタープライズストレージシステム市場の2015年上半期(1月~6月)の実績に基づく国内外付型ローエンドエンタープライズストレージシステム(システム価格500万円未満、以下ローエンドストレージシステム)市場の分析結果を発表した。

これによると、国内ローエンドストレージシステム市場では200万円~500万円未満の価格帯で成長しているベンダーや、間接販売市場におけるチャネルパートナーとの協業で成功しているベンダーがシェアを伸ばしていることが分かった。

同社では外付型エンタープライズストレージシステム市場をシステム価格によってハイエンド(3000万円以上)、ミッドレンジ(500万円~3000万円未満)、ローエンド(500万円未満)に分類。2015年上半期の国内外付型ローエンドストレージシステム市場は、売上額が前年同期比5.4%増の340億1800万円、出荷容量が同23.5%増の452.5PB、出荷台数が同1.4%増の1万4777台。

また、2015年上半期の国内エンタープライズストレージシステム市場全体に占めるローエンドストレージシステムの構成比は売上額が32.6%、出荷容量が55.9%、出荷台数が82.3%となった。

2015年上半期のローエンドストレージシステム市場を価格帯によって分類すると「200万円未満」の市場は35.7%、「200万円~500万円未満」の市場は64.3%を占めたという。「200万円未満」の市場は2半期連続でマイナス成長となった一方、「200万円~500万円未満」の市場は6半期連続のプラス成長となった。

「200万円未満」の市場は「同一ブランドのx86サーバ+ローエンドストレージシステム」という形態で販売される比率が高い市場。2015年上半期はIBMのx86サーバ事業のレノボへの売却など市場構造の変動などが影響してマイナス成長となった。

一方、「200万円~500万円未満」の市場ではサーバ仮想化環境における需要が拡大しているほか、マルチプロトコル対応やストレージ仮想化機能を搭載しFC-SAN、スケールアウトやバックアップ特化型のNASなど特徴的な機能を持った製品が需要を伸ばしたという。

ローエンド市場はチャネルパートナーによる間接販売比率が高いのも特徴だといい、2015年上半期のローエンド市場における間接販売の構成比は66.9%に達した。ローエンドストレージ市場で成長を継続しているベンダーは、直販から間接販売へのビジネスシフトを進めるだけではなく、チャネルパートナーが販売しやすい仕組みづくりを進めるなど、チャネルパートナーとの協業で成功しているという。

国内外付型ローエンドストレージシステム出荷金額(Vendor Revenue)シェア、2015年上半期

2015年上半期の国内ローエンドストレージシステム出荷金額(325億5500万円)では富士通が第1位(シェア25.8%)、次いでEMC(15.8%)、NEC(11.7%)、日本ヒューレット・パッカード(7.5%)、ネットアップ(6.6%)が上位5社となった。

なお、IDCでは外付型ストレージシステムの市場規模の算出には、ベンダー出荷金額(VendorRevenue)にチャネルマージンを加えた売上額(Value)を採用しているため、2つの数値の間に差が出ている。同社では「ストレージベンダーがローエンドストレージシステム市場で成長を達成するためには、製品の拡充と機能強化にとどまらず、チャネルパートナーとの協業を含めた販売戦略の強化や見直しが重要になる」と分析している。