パラレルI/OのSDS(Software Defined Storage:ソフトウェア定義型ストレージ)などを手がける米DataCore Softwareの日本法人のデータコア・ソフトウェアは2月18日、都内で記者会見を開催し、パラレルI/Oソフトウェアがピアレビュー・ベンチマークであるStorage Performance Council(SPC)のSPC-1基準による、価格性能比の世界記録を更新したことを発表した。
冒頭、DataCore Software アジアパシフィック&日本 副社長のジェイミー・ハンフリー氏は「われわれはSDSのアーキテクチャをデータセンターや遠隔オフィス、支店で使用することや、ハイパーコンバージドテクノロジーをプラットフォームに集約するソリューションはパラレルI/Oが実現すると考えている」と語った。
監査済みのSPC-1 Price-PerformanceはSPC-1 IOPSあたり8セントとなり、同部門のリーダーとしての位置付けが明確になったという。SPC-1性能テストの目的は、データベースやトランザクション処理環境で通常見受けられるビジネスクリティカルなエンタープライズレベルのワークロードに対する、システムの性能を実証することにある。
今回のテストと価格設定の対象となった監査構成は、Intel Xeon E5-2600 v3シリーズ・プロセッサ、SSD16台、HDD8台を搭載し、Microsoft Windows Serverを実行しているLenovo System x3650 M5マルチコア・サーバ。DataCore SANsymphony-VパラレルI/Oソフトウェアが含まれている。
Storage Performance Councilはストレージ業界に焦点を絞ったベンダー中立の標準化団体であり、ストレージ業界のニーズや懸念に対応する業界標準のパフォーマンスベンチマークを作成。SPCのベンチマークポートフォリオは、コンポーネントレベルの評価から分散ストレージシステム全体の測定に至るまで多岐にわたり、パフォーマンス、価格性能比、電力消費の値を独立して監査し、指標を提供している。
今回の世界記録はコンピューティング、パラレルI/O処理、ストレージのワークロードに対応するハイパーコンバージドソリューション(HCS)上で達成されたことが注目すべき点だという。HCSは、エンタープライズクラスのストレージ要件と要求の厳しいデータベース/トランザクション処理のアプリケーションのワークロードに対応し、すべてを同一プラットフォーム上で実行することを可能としている。
同社はベンチマークテストの際、エンタープライズクラスのOLTP(オンライントランザクション処理)と、レイテンシの影響を受けやすいデータベースアプリケーションを対象として、市販のハイパーコンバージドシステムを使用し、45万9290.87 SPC-1 IOPSという結果を得たという。
ハードウェア、ソフトウェア、3年間のサポートの総コストは3万8400.29米ドルであるため、SPC-1 Price-PerformanceはSPC-1 IOPSあたり8セント(0.08ドル)という値となった。これは、Infortrend EonStor DS 3024Bが以前に達成した記録であるSPC-1 IOPSあたり24セントと比べて3分の1となるコスト削減で、EMC VNX 8000 、NetApp EF560 All Flash Array、Dell Storage SC4020 、HP 3PAR StoreServ 7400 といった有名な上級機種のストレージ・アレイのコストの25%未満だという。
データコア・ソフトウェア 代表の小坂素行氏は、パラレルI/Oソフトウェアの記録更新を踏まえ、今後の日本におけるハイパーコンバージドインフラストラクチャ市場の戦略について「われわれは認知度の向上が極めて重要である一方、SDSの認知度は確実に向上している。また、パートナーの見直しと拡大を継続し、新たにディストリビューターも3月から取引開始を予定している。さらに、サーバベンダーとの協業を加速しており、今後3年間の販売計画は市場の伸びの3倍程度でビジネスを拡大していきたい」と意気込みを語った。