三菱電機は2月17日、空中に映像を表示できるディスプレイを開発したと発表した。同社は2015年度より、宇都宮大学工学研究科 山本裕紹 准教授とともに、空中に映像を表示する共同研究を行っていた。
同ディスプレイでは、スクリーンと対にして、ビームスプリッターと再帰性反射シートを配置することにより、スクリーンの映像の光がビームスプリッターで反射され、この光が再帰性反射シートで反射されると、光が空中に再収束するという原理を応用。人の目には、再収束した光が視認できるため、映像が空中に浮かんでいるように見える。今回、スクリーンとビームスプリッターおよび再帰性反射シートの配置から、空中映像のサイズや空中映像が見える範囲を求める光学シミュレーション技術を開発し、ビームスプリッターから映像中心部が1メートル以上離れた空中に、幅886mm×高さ1120mmの空中映像表示を実現した。
また、物理的な手がかりのない空中に目の焦点を合わせることに慣れていない人にとって、空中映像の表示位置がわかりにくいという課題があったが、今回、入力映像を空中映像領域と左右のガイド映像領域に分割し、3つの領域の映像がシームレスに繋がるように表示できるシステムを開発したことで、空中映像の位置をより明確化することが可能となった。
同社は同技術について、人型サイズの映像を使った遠隔コミュニケーション用途から公共性の高い表示まで、幅広い分野での近未来的な映像表現を実現するものであると説明している。